WATARI-UM  
home sitemap contact
exhibition infomation lectures/workshops
庭園倶楽部
mutsuuji

2017年度 会員募集 ワタリウム美術館

「庭の時代」を考えよう! 開講にあたって 
講師=進士五十八
(福井県立大学学長・東京農業大学名誉教授・造園家)

かつて私は『「農」の時代』(学芸出版社、2003)を上梓しました。そして今、造園家の私がこれからは「庭の時代」です、といっても信用してもらえないでしょう。ところが、近刊の二川幸夫写真集『天上の庭』(2017)の巻頭エッセイで隈研吾氏が「庭の時代」を論じてくれているのです。だから、ここでは私も堂々と「庭の時代」を論じてみたいと思います。
これは決して建築家か造園家かの職能の問題ではありません。政治家であれ経済人であれ同じです。「生命」「生き物」、そして「自然」のなかに“人間”と“ひとのくらしと文化”、“人生”を見ていきたいものだと考えるからです。21世紀を生きる私たち皆んなで「庭の時代」の「人間物語」を紡いでいきたいと思うのです。

2017年9月-2018年3月 金曜日 19時ー21時
講演全5回+1日見学会 2回+研修旅行1泊2日(旅行経費別途)
講師=進士五十八
進士五十八 しんじ いそや 
1944年、京都生まれ。東京農業大学農学部造園学科卒業。農学博士。専門は、造園学・環境学。東京農業大学長、日本造園学会長、日本都市計画学会長、日本生活学会長、日本野外教育学会長など歴任。著書に『アメニティ・デザイン』『風景デザイン』『農の時代』『ルーラル・ランドスケープ・デザインの手法』(以上、学芸出版社)、『グリーン・エコライフ』(小学館)、『日比谷公園』(鹿島出版会)、『日本の庭園』(中公新書)など多数。
みどりの学術賞(2015年)、紫綬褒章、日本農学賞、日本造園学会賞など受賞。

mutsuuji

グラナダのへネラリーフェ離宮のパティオ/岡山吉備津神社/アントニ・ガウディ、グエルパーク/松島の風景
1 2017年9月2日(土)・3日(日)
庭園研修旅行:東北の名所と庭、そして未来の庭


平泉をスタートに今年は、3・11からの復興がすすむ日本三景の一つ松島を訪ね、リアス式と多島式海岸美のダイナミズムを体感し、併せて、日本庭園の縮景モデル景観を再考します。1日はワタリウム美術館がキュレーションを行う東北初の芸術祭、Reborn-Art Festival 2017を石巻・牡鹿半島に訪ねます。国内外より集まった40名のアーティストたちが、この東北の自然の中で、最先端の未来の庭を表現しています。



2  9月8日(金) 19:00-21:00
ワークショップ 十人十庭:私の庭・私のつくりたい庭


庭、というと何をイメージしますか。あれが名園、これが名庭と、みんなが知っている庭園をイメージするだけでは、自分の庭・わが庭にはなりません。
情報の波に洗われ、時間に追われながら、忙しく働く現代人にとって、“庭と庭的空間”はとても大切だと思います。
自分にとって、何が庭か。どんな世界を求めているのか。何を庭に表現したいのか。きっと十人十庭でしょうし、時と場合もあるので十人百庭がホントウです。
庭は、絵や図面で表現するのが普通ですが、詩でも文章でも、イメージ写真やコラージュでも描けるのです。私の庭・私のつくりたい庭というものを、是非一度チャレンジしてみませんか。

◎ 8月30日までに「私の庭」についてのレポートかイラストをA4用紙5枚以内で郵送してください。提出は必須ではありませんが、講評を希望する人は提出してください。

参考資料:進士五十八ほか、発想法研究 — 「庭のデザイン」を事例として、雑誌・庭 THE GARDEN(57)、建築資料研究社、1981.4, 73-92
2  10月27日(金)  19:00-21:00
多様多彩な庭:古今東西の庭・自然風土と時代の造形



ここでは、人類史が、また先人らが2000年をかけて創りあげ積みあげた世界の庭を概観し、そこに込められた人々の思いや、それぞれの自然・風土・気候などによる制約をどのようにクリアし、各時代の要請に如何にして応えてきたかを、典型的な庭園を訪ねて考えてみたいと思います。
自然の大地、気候風土に大きく制約される作庭技術・庭園文化だからこそ、又、施主が個人の好みから、また国家や政治の意志によって左右されざるを得ない各国庭園様式の完成であったからこそ、“庭の古今東西”を訪ねることで、“人間と自然の共生”の姿とあり方を学ぶことができると確信します。

古代エジプトの庭園/バビロンのハンギングガーデン/古代ローマのフォーラム/スペイン、グラナダのパティオ、アルハンブラ宮殿/ルネサンス、イタリアのビラ/フランスのヴェルサイユ宮苑/イギリスのストアヘッド風景園/中国皇家園林としての頤和園/蘇州の拙政園、獅子林など/杭州西湖十景/平泉の毛越寺など浄土庭園/京都の禅院塔頭の枯山水/京都千家家元の露地/江戸の小石川後楽園/京都の無鄰菴庭園/ブラジルのブルーレ・マルクスのトロピカル・ガーデン
2  11月17日(金)  19:00-21:00
ジャパニーズ・ガーデン:日本式庭園の材料・意匠・構造


日本列島の多様な自然風土、アニミズムと神道、仏教の伝来などによって培われたのが日本人の精神史。これを基調に培われた自然観、風景観、庭園観の精華が、いわゆる「日本式庭園」だといえます。また、それぞれの自然立地、地形、地質、水利、石や樹草など材料、外構や農業土木の建設技術や技法、東屋や茶室建築、石造物などの加工技術など、敷地の自然条件、造庭に係わる人々の技と心など人文条件、時代々々の社会経済条件等の総合的成果ともいえます。
元来、人為的自然空間である庭(にわ)や園(その)というものを、“安全安心と理想の快適世界に創造するための人間行動×空間構成の関係式”の原理で解説すれば、日本式庭園が高い評価を受けるだけの普遍性をもっていることがわかるでしょう。
ここでは、代表的な、また典型的な日本庭園と作庭背景をとりあげることで、そこに共通する、またその地方、その時代、その用途などに特化した庭園の構造と意匠の多彩さ、本質や特質を再確認したいと思います。

平等院鳳凰堂園池/白水阿弥陀堂園池/龍安寺石庭/大仙院枯山水/朝倉(義景)遺跡の豪壮な石組群/二条城二の丸庭園/岡山後楽園/栗林園/兼六園

11月18日(土)
一日庭園見学:杉本博司の集大成「小田原文化財団 江之浦測候所」を体験する


昨年の庭園倶楽部で杉本博司氏にその思いを語ってもらった。
ギャラリー、石舞台、茶室、庭園、門、待合棟などで構成されている。
2  12月8日(金) 19:00-21:00
現代の庭:現在と近未来が要請するランドスケープ・デザイン


無国籍的で世界中を画一化する現代建築群で圧倒される都市社会のなかで、住民にふるさと性を感じさせ、一方でインバウンドの観光者にも楽しまれる都市景観を創出しなければなりません。
ふるさと回帰を希望する若者が増えつつあるようですが、果たしてすべてにプレファビリケーション(工業製品で組み立てられる建物)でできていく地方都市に、彼らの期待に応えられる魅力と資格があるでしょうか。
これからは、都市でも、地方でも、人々に“ふるさと感覚”を与え得るだけの“地域らしい風景”や“個性的な場所”を創出することが強く求められています。
そのために最も有効なことは、“大地性を生かすこと”、“敷地の地形、方位、眺望性を生かすこと”、“生きた自然である緑・時間によって生長する樹木(年輪を重ねる緑)を生かすこと”、“農や土や水や生き物が生きる自然生態系を保存すること”そして、“トポス(場所性)を踏まえ、トポスを育むようなアートを創出すること”などです。
それらのすべてを踏まえて有効な緑と風景の計画を具体的に実現する方法。それを「ランドスケープ・デザイン」といいます。

井上円了の哲学堂公園/ガウディのグエルパーク/シアトルのガスワーク・パーク/イサム・ノグチのモエレ沼公園/六本木ヒルズの屋上田圃/東京駅八重洲口のテントと緑化壁広場
 2 2月16日(金)2018年  19:00-21:00
人類と庭、水と緑:シェルター、安全安心、拠り処性、人間と自然の共生


庭、園、庭園、苑囿、garden、park、paradise。いろいろな言葉があります。そこには「生きられる景観」という思想と、gan(囲む/防衛)+eden(食料/悦び/快適)という構造があります。仏教での極楽浄土、旧約聖書でのエデン、道教での神仙島や桃源境など、世界の庭園の原像も描かれてきました。そこには人類にとっての理想の空間イメージがありました。この地球で生きているすべての生き物の生存条件の根本は、水と緑の存在にあり、庭と園は人間生存のための必置装備であるわけです。眼に映る庭の表層はいろいろですが、生命を外敵から守り、生命維持のための水や食料を確保することで、人間の安全安心を保障する環境空間であるべきことは世界共通で庭の本質なのです。

浄土曼荼羅と浄土庭園/修道院中庭の迷園/パラダイスとイスラム庭園/ユートピア論/ガーデンシティ/鎮守の森/林間都市

3月10日(土)
一日庭園見学:哲学堂と哲学の庭を訪ねる

中野区にある「名勝 哲学堂公園」と「哲学の庭」を見学します。世界の哲学者と哲学を学ぶための道場として、日本初の哲学者、井上円了博士が構想した不思議な庭園。また近年、ハンガリー生まれの彫刻家、ワグナー・ナンドールの作品「哲学の庭」も併設されている。わが国の庭公園としては極めてユニークなコンセプトでつくられた庭です。

参考資料:進士五十八「世界にほこるべき名園」— 現代版 哲学堂の歩き方『東京人』2016年2月増刊号


 

mutsuuji

自然公園・サハネ、べテシャン近郊/毛越寺庭園の遣水/白水阿弥陀堂園池/大仙院枯山水

laine

会費 参加ご希望の方は、〈お名前、連絡先(住所/電話番号/E-mailアドレス又はFax番号)、ご職業〉をご記入の上、E-mail: order@watarium.co.jp またはFax:03-3405-7714へお送り下さい。
なお、同時に、会費を下記の口座にお振込下さい。定員になり次第、〆切らせて頂きます。

■入会金:5,000円
(ワタリウム美術館サポート会員の方、庭園倶楽部ご継続の方は無料。
 ワタリウム美術館アートパス会員の方は4000円)

■会費:19,000円 講演全5回
*研修旅行+一日見学会 旅行経費別途
■振込先: 三井住友銀行 青山支店(普)普通口座 No.1621750 庭園倶楽部

2001-20022002-20032003-20042004200520062007  2008  2009  2011 2012
 2013   2014  
 
▲PAGE TOP
ワタリウム美術館
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-6

MAP
tel:03-3402-3001
fax:03-3405-7714
e-mail: official@watarium.co.jp