2015年度
庭園倶楽部 会員募集 今期の庭園倶楽部2015では、初めての西洋庭園研究(講師=進士五十八)と、 ゲスト講師による堀口捨己(講師=藤岡洋保)と藤井厚二(講師=松隈章)の庭を学び、体験します。 2015年6月〜2016年1月 毎月 金曜日 19時〜21時 講演全7回(西洋庭園の世界5回 + ゲスト講演2回) * 研修旅行+一日見学 旅行経費別途 |
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講師=進士五十八 しんじ いそや (造園家、東京農業大学名誉教授・元学長) |
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一日見学
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6月6日(土)講師=藤岡洋保(建築史家)
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ゲスト講演 (1) |
6月26日(金)19:00 - 21:00 講師=藤岡洋保(建築史家) 堀口捨己の「庭」 人工物と自然物による空間構成 堀口捨己にとって、「庭」は、建物と一体になって構成された空間を意味していた。 この講演では、日本の伝統を再解釈しながらその普遍性を主張していた彼が日本の「庭」をどう認識し、どのような姿勢で 設計していたのかを語る。 岡田邸「秋草の庭」 堀口捨己『一住宅と其庭園』 (洪洋社 1936)より 撮影:村澤文雄 |
西洋庭園の世界 講師=進士五十八 (造園家・東京農業大学名誉教授・元学長) |
庭園は人類の歴史とともにある。ただ自然、気候風土、民族、宗教、そして造園材料、造園技術のちがいから、それぞれや地方と時代で独自の庭園様式が形成された。古代エジプトに起源をもつ西洋式庭園は、ふつう左右対称〈シンメトリー〉に区画され、主要建築への軸線(ビスタ)に沿った並木や芝生広場がひろがり、整形式の池泉、噴水、彫刻、トピアリーが配される。特色ある西洋庭園は、国名で呼ばれる。それぞれの国が最も栄えていた時代に様式を完成させた。@概説・エジプト、Aスペイン式、Bイタリア式、Cフランス式、Dイギリス風景式、を解説し海外に庭園を訪ねたいひと、公園施設のデザインの原形を知りたいひと等の参考となればと思う。 |
講演 @ |
7月17日(金) 19:00 - 21:00 講師=進士五十八 西洋式庭園概説 古代エジプトの庭園から 世界の庭園を概観。各国様式の連続性と差異性、風土・時代思潮と整形や風景式。人間が生きられる空間・景観を、古代エジプトの庭園に学ぶ。防御された囲繞(いにょう)・水と緑陰と鳥や魚・左右対称性などの景観的秩序などに西洋庭園の原型をみることができる。古代エジプトの繁栄は、B.C.3500年からB.C.500年ごろ。テーベにあるアメノフィス(Amenophis)3世に仕えた重臣の庭園が代表例。他の例に死者を庭池に浮かぶ船で遊弋(ゆうよく)させている絵がある。エジプト人らは現世の暮らしぶりを死後の世界にまで延長しようとしたようだ。古代社会の王権のありかた、神殿に向かう並木道などシンメトリーの重要性などを考える。 アメノフィス3世の重臣の庭園(壁画) |
講演 A |
9月4日(金)19:00 - 21:00 講師=進士五十八 スペイン式庭園 イスラム教(回教)に影響を受けた時代のスペインの庭園様式。中庭型なのでパティオ式(patio)ともいう。その原型はペルシアの造園にあり、不毛の高原地形、厳寒酷暑の気候、外的の多い政情を背景として中庭型形式をとる。ペルシア イスラム、インド イスラム、スペイン イスラムがある。古代ペルシア人の信仰したゾロアスター教の「天国は金色に輝く苑路、果樹園と花を満たしたダイアモンドと真珠造りの園亭のあるひとつながりの大庭園」との考えに影響を受け、貯水池・カナル・噴水・果樹・花・タイル舗装などの特徴がある。グラナダに13−14世紀をかけたアルハンブラ宮苑とヘネラリーフェ離宮が代表的庭園。 ヘネラリーフェ離宮 |
庭園研修旅行 |
9月19日(土)・ 20日(日)講師=進士五十八 庭園研修旅行 長崎ハウステンボス・熊本など(予定) |
一日見学 | 10月3日(土)講師=松隈章(竹中工務店設計本部/GalleryA4) 建築家 藤井厚二の「日本の住宅」探訪 「聴竹居」「八木邸」(2015年春より公開)と千利休「待庵」 |
ゲスト講演(2) |
10月16日(金)19:00 - 21:00 講師=松隈章(竹中工務店設計本部/GalleryA4) 聴竹居 — 建築家 藤井厚二の「日本の住宅」と言う思想 自ら始めた環境工学の知見を生かして、日本の気候風土、さらに日本人のライフスタイルや感性に適合した「日本の住宅」の理想形を実践した建築家藤井厚二。京都大山崎に遺る自邸「聴竹居」(1928年竣工)や注文住宅で寝屋川市香里園の「八木邸」(1930年竣工)にこめられた藤井の思想をご紹介する。 聴竹居 『聴竹居 藤井厚二の木造モダニズム建築』 (平凡社コロナブックス 2015)より 撮影:古川泰造 |
講演B |
11月20日(金)19:00 - 21:00 講師=進士五十八 イタリア式庭園 14世紀ごろよりフィレンツェを中心にした古典憧憬・文芸復興(ルネサンス)の気運が、古代ローマ時代の伝統の上に独自の様式を生み出した。都市近郊の眺望のよい傾斜地に露壇〈terraceテラス〉を重ねるようにつくられた。そこには貴族らの様々の遊び心が、建築、絵画、彫刻、水工、それらが総合化した庭園を巧みに融合させた「ヴィラ (villa, 別荘庭園)」が営まれた。16世紀後半、装飾本位で水の活用と演出が功妙となり局部意匠が全体的な均整をしのぐほど強調され庭園建築や彫刻も著しく多様に展開する。こうして成熟したルネサンス文化は、バロック式になっていく。フィレンツエ市内アルノ河畔ピッティ宮(15世紀)南斜面のボボリ園(16世紀半ば、コジモ1世)、ローマ郊外チボリのエステ荘などが代表的庭園 エステ荘 |
講演C |
12月18日(金)19:00 - 21:00 講師=進士五十八 フランス式庭園 西洋庭園の基調、幾何学式・建築式の集大成ともいうべきべルサイユ宮苑(17世紀後半)に代表されるフランス整形式は、傾斜地のイタリア式を平坦地のパリ郊外で展開すべく、広大なボスケ(叢林)に、グランカナール(運河状池泉)や豪華な彫刻群のある噴水池を配置、ビスタ(通景線)でつないで構成したので「フランス平面幾何学式」、また、後「王家の庭師にして庭師の王」といわれる造園家の名から「ル・ノートル式」ともいう。彼はイタリア留学から帰り出世作ボールビコント(17世紀半ば)でフランス風に翻案し、8000haに及ぶルイ14世のベルサイユ宮苑を完成する。絶対王政を象徴する宮苑スタイルはヨーロッパ全土、さらには北京の円明園、東京の赤坂離宮に模倣されていった。 ボールビコント庭園 |
講演D |
2016年 1月15日(金)19:00 - 21:00 講師=進士五十八 イギリス風景式庭園、近代公園へ 17世紀イギリスでブルジョアジー革命を成し遂げた新興勢力にとっては、絶対王政の秩序表現である整形式は受け入れ難いものとなる。当時、国土景観がエンクロージャー(囲繞)によって牧場風景が顕在化していたこと、風景画家や田園詩人の輩出と自然賛美の世論形成があったことなど背景に、庭園の整形は徐々にシンメトリーを崩し、本格的な自然風景式へと発展する。絵画的に田園の理想を再現したケント(W.Kent)、周囲の自然との同一化を目指したブラウン(L.Brown)、近代的な風景式庭園を提唱したレプトン(H.Repton)の3人によってイギリス風景式が大成する。ベルサイユで頂点に達した整形式は、18世紀イギリスで自然風景式に大転換した。やがてピクチュアレスクからパストラルへ、ニューヨークのセントラルパークなどアメリカの公園設計に大きな影響を与え19世紀以降の世界の近代公園の主流となる。 スタウアーヘッド庭園 |
参加ご希望の方は、〈お名前、連絡先(住所/電話番号/E-mailアドレス又はFax番号)、ご職業〉をご記入の上、E-mail: order@watarium.co.jp またはFax:03-3405-7714へお送り下さい。なお、同時に、会費を下記の口座にお振込下さい。定員になり次第、〆切らせて頂きます。 ■入会金/5,000円 (ワタリウム美術館サポート会員の方、庭園倶楽部ご継続の方は無料。 ワタリウム美術館アートパス会員の方は4000円) ■会費 24,000円 講演全7回(西洋庭園の世界5回 + ゲスト講演2回) *研修旅行+一日見学会 旅行経費別途 振込先 三井住友銀行 青山支店(普)普通口座 No.1621750 庭園倶楽部 |
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ワタリウム美術館 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6 |
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