『茶の本』を英語で書き上げ、日本初の米国でのキュレイターして活躍した岡倉天心。近代化、西欧化路線の限界、終焉、新たな脱近代化文明世界への転向にさしかかりつつある二十世紀の現在に岡倉天心は何を語ってくれるのか? 岡倉天心研究会2002-2003 西洋の人々が 定義してきた世界美術史の中に、岡倉天心は東洋美術史のコンセプトを定義付ける尽力を果たした。 岡倉天心の生涯は、公的な面においても― 東京美術学校、日本美術院を軸とする伝統日本美術復興再生運動、「東洋の理想」、「茶の本」等による文明批評、文化理念啓蒙活動、アジアの連帯独立をめざす運動。私的な面においても― 日本から欧米、アジアへ転々とした亡命者的放浪の歳月、二度にわたる悲劇的な恋愛、晩年の隠棲と風流。きわめて多面的かつスケールの大きなものであり、また様々な矛盾、謎に満ちています。 現代に生きる私たちは、一世紀を経たにもかかわらず、岡倉天心の今日的といえる岡倉天心の思想を求め、研究を続けていきたい。二千二年は、インドを含めた世界的な視点から、各講師により研究会を更に充実させる。 |
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2002年4月13日(sat)〜4月14日(sun) ■京都 研修旅行 大徳寺、吉田家、東福寺、仁和寺、大覚寺、酬恩庵一休寺 講師=稲次敏郎 1924年生まれ。1988年「建屋と庭園に関する研究」で日本デザイン学会賞受賞。1995年「建屋と庭園の関係研究」で勝見勝賞受賞。東京芸術大学名誉教授。宝塚造型芸術大学名誉教授・ 理事。 |
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2002年4月23日(tue) ■「双龍の図」と天心の人生観 絵を画かない天心にとって、大観が天心の考えを絵にすることがあった。その一つ「双竜の図」を通して、天心の人生観をみてみたい。 講師=堀岡弥寿子 浅草に生まれ育つ。津田塾卒。1952年コロンビア大学修士号。著作『岡倉天心―アジア文化の宣揚者』『岡倉天心考』、1974年、82年。『事故』 1998年。訳書、フェリス著『イエス』1989年。森美那子の筆名で『南加文芸』「ニューヨーク日米新聞」他に多数の随筆、創作を発表。 |
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2002年5月21日(tue) ■シスター・ニヴェディーダについて 前回、岡倉天心『東洋の思想』との関連でふれたシスター・二ヴェディーダことマーガレット・エリザベス・ノーブルについて、その間、調べのついたことを報告申し上げる所存です。 講師=稲賀繁美 国際日本文化センター助教授 |
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2002年6月18日(tue) ■天心と九鬼周造 岡倉天心と九鬼周造は周造の母波津を仲だちにして精神的な父子のような関係にある。周造は生涯を通して天心の仕事に敬意を持ち続けたが、近代日本の第一世代と第二世代というちがいもあって仕事の質は大いに違っている。今日の視点からしてそのあたりに光をあててみたい。 講師=坂部 恵 1965年東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。国学院大学、東京都立大学、東京大学の教職を経て、現在、桜美林大学教授。 |
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2002年7月16日(tue) ■天心とタゴール 天心は第一回訪印で、日本と中国とインドの古典美術の美的統一を実感した。日本美術院の潮流とベンガル美術ルネッサンスの交流がカルカッタで行われた。仏教の復興のため努力し、京都での東洋宗教者会議へのビベカノンドに出席の要請をする。第二回訪印の折には、ダゴール家の未亡人プリヨンノダ・デビとの愛を育む。これらの多くのことに詩人ロビンドロナト・タゴールはかかわりを持っている。 講師=我妻和男 東京大学大学院人文科学研究科(インド哲学、独文学)、ロビンドロ・バラティ大学にて学び、タゴール国際大学客員教授、筑波大学名誉教授を経て、現在、麗澤大学日本語学科教授。 |
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2002年8月23日(fri)〜8月29日(thu) ■印度旅行(予定、国情による) カルカッタ、シャンティニケトン、タゴールが創設したタゴール国際大学にて、インドの研究者たちを交えてシンポジウムを開催。天心が歩いた道を訪ねる。 同行講師=我妻和男、中村 愿 |
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2002年10月25日(tue) ■天心と京都学派の文化哲学 西田/和辻/九鬼 『東洋の理想』『茶の本』に展開された天心の文化哲学は、もっぱら西欧近代文化の移入をこととしていた当時の日本の状況においては孤立していたが、やがて西欧基準に依存せず、日本独自の文化哲学創造をめざす京都学派が登場すると、その先駆としての意義を帯びるようになった。この照応関係の諸相をみてみたい。 講師=大久保喬樹 1946年生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス科大学院比較文学博士課程を経て、パリ第三大学に学ぶ。現在、東京女子大学日本文学科教授。主な著書に、『岡倉天心』(小沢書店)、『風流のヒント』(小学館)『見出された「日本」』(平凡社)など。 |
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2002年11月12日(tue) ■天心と金子堅太郎 内外の歴史書によれば、日露戦争期の米国世論を日本びいきに導こうとした功績は、金子堅太郎が独占している。しかし実際は、金子は当時の大統領にうまく操られていたのである。一方、岡倉天心は、米国人に東洋と日本独自の文化を紹介し、異文化の理解を求めて世論に訴えかけた。天心のこのような広報活動の手法こそ、現代にも適用できる普遍性を持っているであろう。 講師=山崎新□ 同志社大学大学院に学び、故岡倉古志郎氏の指導で修士論文を作成。その後も同氏の遺志を継いで未発見資料探しを続けている。 |
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2002年12月10日(tue) ■「The Book of Tea」の世界 二十世紀の初頭、岡倉覚三は日本的な茶のセレモニーに託して、深く静かな平和の思想を、この地球上に共生する全世界の人々に向けて語った。日本人の著述のなかで、もっとも気品ある世界的<人生の著>『The Book of Tea』の滋味を分析する。 講師=中村 愿 |
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