『茶の本』を英語で書き上げ、日本初の米国でのキュレイターして活躍した岡倉天心。近代化、西欧化路線の限界、終焉、新たな脱近代化文明世界への転向にさしかかりつつある二十世紀の現在に岡倉天心は何を語ってくれるのか? 岡倉天心研究会2004 西洋の人々が定義してきた世界美術史の中に、岡倉天心は東洋美術のコンセプトを定義付ける尽力を果たした。岡倉天心の生涯は、公的な面においても東京美術学校、日本美術院を軸とする伝統日本美術復興再生運動、「東洋の理想」、「茶の本」等による文明批評、文化理念啓蒙活動、アジアの連体独立をめざす運動。私的な面においても、日本から欧米、アジアへ転々とした放浪の歳月、悲劇的な恋愛、晩年の隠棲と風流。きわめて多面的かつスケールの大きなものであり、また様々な矛盾、謎に満ちています。 一世紀を経たにもかかわらず、岡倉天心の今日的である思想を、ワタリウム美術館では求め研究を続け、七年目を迎えることになりました。「岡倉天心・研究会」二千四年の始まりは、法隆寺の高田良信長老様を、お迎えし、法隆寺の復興を、明治の日本人に蘇えらせた岡倉天心の功績をなまに聞けます。また各講師の方々の岡倉天心の新論の発表により、更に充実し、素晴らしい「岡倉天心・研究会」第7回となり、御期待頂けます。 4/27/2004〜8/24/2004 19時 ※変更があった場合、早めにご連絡いたします。 |
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2004年4月27日(tue) ■天心やフェノロサ・忠太・子規などが見た法隆寺 明治時代の退廃していた法隆寺などの寺院の状況や天心・フェノロサなどが立ち会ったと云われる「夢殿本尊開扉にまつわるなぞ」にも触れつつ、法隆寺の裏話などの興味深い内容になると思います。 講師=高田 良信(法隆寺長老) 1941年奈良県に生まれる。1965年龍谷大学大学院修士課程修了。現在 法隆寺長老。 主な著書に、『私の法隆寺案内』、『「法隆寺日記」をひらく』、『法隆寺子院の研究』、『近代法隆寺の歴史』、『法隆寺の謎と秘話』他多数 |
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2004年5月25日(tue) ■岡倉天心と美術院・第二部 天心は若くして、各地の古社寺を訪れ、廃仏棄釈により破損された仏像等に危機感を抱き、その保存修理のため、明治30年、古社寺保存法を成立させた。明治 31年、この法に基づく国宝修理が開始され、彫刻のみならず、絵画、書籍、工芸などの修理がこの年、天心によって創立された日本美術院により実施された。このうち彫刻修理部門が、明治39年の院の改組により第2部となる。古社寺保存法初期の国宝修理の実情と、現在の財団法人美術院に至る100年の歴史を概観する。 講師=新納 義雄(財団法人美術院常任顧問) 1956年関西学院大学経済学部卒。都市銀行を経て、1987年財団法人 美術院に入り、事務部門を担当。現在 顧問。 |
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2004年6月22日(tue) ■岡倉覚三と明治の文学界 一国の芸文は、美術も、音楽も、演劇も、文学も、相互に連関性のないものはない。幕末から明治にかけて横浜と東京に生い育った岡倉は、江戸文芸と欧米文学をともに血肉化していった。やがてアジア芸術の再創造に全力を注ぐようになる彼は、青年客気の時代に、明治の美術界・文学界・演劇界の一大交流の磁場を形成しようと試みた。饗庭篁村・尾崎紅葉・幸田露伴・森鴎外らとの交友から、岡倉の“行動する文学”の実態を識る 講師=中村 愿 (蘭花堂主人) 1947年福岡県生まれ。長年、天心の研究にたずさわり、平凡社版の『岡倉天心全集』および『英文著作集』の編集にしたがう。現在『岡倉覚三選集』の個人編集をすすめている。著書に『美の復権』など。 |
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2004年7月20日(tue) ■『美術叢書』の刊行について ―ヨーロッパの概念“Fine Arts”と日本の訳語 「美術」 の導入ー 「美術」という用語は、1873年に日本において「藝術」の意味で用いられたのを初出とし、Shone Kunstないし fine arts の訳語として用いられるようになったもの。美術概念の導入は、ヨーロッパ化ないし近代化と一体であり、美術という造語を用いて自ら題するのは、書画の枠組のもとで刊行されてきた伝統的な叢書とは根本的に本質を異にする。 本講演会では、「アジアは一つ」と唱えた天心のメッセージが、近代中国にも該当するものなのか。『美術叢書』の刊行に即して、考えてみたい。 講師=小川 裕充(東京大学 教授) 1948年生れ。1973年東京大学教養学部教養学科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程中退(美術史学専攻)。1979年東京大学助手。東北大学・東京大学助教授を経て1992年より、東京大学東洋文化研究所教授。 美術史学会代表委員(2000‐02年度)、東方学会理事。 |
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2004年8月24日(tue) ■五浦の岡倉天心 ―天心美術館を五浦につくって― 日本美術院創設から百年、1997年 天心の隠棲の地、近代日本画革新の地五浦に天心記念五浦美術館は誕生した。現在、天心の足跡を尋ねる多数の来館者を迎えています。天心記念五浦美術館の建設構想と現状や五浦の魅力などを天心の五浦でのエピソードをまじえ紹介したい。 講師=大久保 武(茨城県天心記念五浦美術館館長) 1943年茨城県生まれ。茨城大学卒業。茨城県職員、五浦美術館建設準備室長を経て、現在、茨城県天心記念五浦美術館長。 |
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■ワタリウム美術館 「岡倉天心・研究会2004」 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6 Tel.03−3402−3001 Fax.03−3405−7714 email:official@watarium.co.jp |
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