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1 ファフリス・イベール ベシーヌの人、1988-98 フランスのベシーヌという村のために制作された彫刻。 1988年にこの作品のための構想図を残している。作家自身の半分の高さ86.5センチのこの彫刻は子供とい うよりも未来の人間、地球外生物のうようである。しかし体の11の穴からでる噴水はそれだけでユーモラ スだ。 2 ファフリス・イベール ブランコ 1991-98 ファブリス・イベールの代表的な作品。幾つかのバージョンが発表さ れていて、今回は緑とピンクのブランコ16個を展示。突起物2つが座る場所を邪魔して いる。一つは硬く、一つはシリコンで柔らかい。作家はどうしてこんな突起物をつけたのだろうか? 男性と女性に共通するお尻の穴とそれぞれの性器の関係 なのだろうか。実際乗るためには工夫を強いられる、乗ってみると子供のころに帰ったような懐かしく、落ちないようにロープをしっかりと握って風を感じている自分が可笑しくおもえる。何よりも外を見ながら気分を変えるには最適なものだ。 3 ファブリス・イベール 四角いボール 1998 サッカーボールは通常丸いが、この作品は四角く、蹴らないで遊んで下さいとの注意がある。遊び方を考えて御自由に遊んで下さい。 ちなみに会場に設置されているビデオは左から、パリ、ア ムステルダムで展示(PLAY)された様子。作家は次には四角い果物を作品にしようと考えているらしい。 |
4 ファブリス・イベール E.Tの種 1998 展覧会のオープン前日の夜中、この場所で制作され、作家自身によっ て壁に張られた。高い位置に展示してありますので細部は中央の壁の横に双眼鏡を利用して覗いて下さい。 タイトルである「E.T.の種」というのは2000年パ リの凱旋門で半年間展覧会を予定しているもの、よーく見ると凱旋門の絵や模型、E.T.らしきへそが二つあるT −シャツなどがある。 5 ファフリス・イベール 黒板、あなたの成績をつけて下さい1998 ファブリスの家にもこのような黒板が四角い大きな柱に 取り付けられている。伝言、自分自身の忘れないためのメモなどコミュニケーションのひとつとして役に立つ。 今回のこの作品はフランスの成績表(1から 12まで)に、自分の評価の数字のところに名前を書いてもらおうとしていたのですが、ご覧のように落書きのようになってしまいました。 |
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7 村木初江 私の好きなもの 1998 トイレに設置されたブラックライトによるインスタレーション。 それぞれの写真はアクリルの箱に貼り付けられ箱の縁がブラックライトで白く光り立体的なフレームに入っているように見える。全体として無機質になりがちなブラックライトであるが、被写体を花や植物にしたことにより冷たすぎず、絶妙の温度と距離感を表現している。 8 村木初江 小さな日々#2 1998 劇場のようなカーテンの下に200枚のポート レート写真を敷き詰めた作品。写真の目の部分には点滅したり、強い光や、弱い光のLEDが埋め込まれている。右横に置いてあるメガネでこれらの光を覗くと立体的な赤いハートが浮かび上がってくる。 被写体は友人、街で出会った人で、彼らの目がハートとし て表現されているのは作家の楽観的なものや人に対する姿勢だけではなく、人との関係性がそうあって欲しいという願いも込められているのかもしれない。 |
9 ナウィン・ラワンチャイクン マイ・ペン・ライ東京 1998 「マイ・ペン・ライ東京」はお気楽タイ人が困った時や予期せぬ出来事に出くわした時によく使うことば。「大丈 夫」とか「気にしない」という意味。10冊のコミックス、 オリジナル・カクテルが用意されたタイ風の屋台が設置されている。コミックスは現代のタイ版里見八犬伝。8体の怪物をタイからの3人の祈祷師が退治して東京を救うという話。怪物の名前はそのままオリジナル・カクテルにもなっていてアルコールの強さや性格などが色や味にリンクしているので、是非試して頂きたい。また、コミックスは各号が渋谷、浅草、東京タワーなど東京観光ガイドにもなっている点にも目を向けて読んで欲しい。美術関係者や作家の友人など作家の日常生活が巧みに取り入れられている。 何といってもこの作品は不況や先の見えない日本に向けて の作家からの心憎いメッセージで大丈夫、大丈夫明るく、しかりやっていこうよといっているようだ。 ご協力願います 2階のブランコには立って乗らないで下さい。 2階の四角いボールは蹴らないで遊んで下さい。 3階飲物は13時と16時から19時までです。 4階のオフィスに置いてあるものは動かさない で下さい。 |
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9 蔡國強 取手1-22-21&301 Elizabeth st.,7p# 蔡國強は1995年に茨城県取手からNYに活 動拠点を移している。コタツや座布団は取手で使っていたもの、2枚のポス ターと人形はNYのスタジオから持参したものである。一つは首を かしげ悩んでいるキリスト像、もう一方は三国志の項羽の像である。どちらも作家の心の拠り所となっている宝物である。ビデオは11月26日に行われた95年以降の活動を作家自身が紹介している記録。 10 クリスティーヌ・ヒル+レリヴァン ステレオタイプ NO.1 東京 クリスティーヌ・ヒルはブティックやマッサージといった観客 と実際に会話していくことを作品としていく作家として注目を集めている。NY生まれ、現在ベルリンで活動をしている彼女が3週間東京に滞在して制作したテーマは「旅行」。それも、ステレオタイプ、典型的な何の準備も荷物もない旅行者を作家が演じるというもの。 彼女の居間のように設置された展示空間の壁には大きな世 界地図と手紙のやり取りのコピーと二つのテキスト。世界地図はこれまで作家が行ったことがある場所にピンが打たれている。 コピーとテキストはこのスペースを作った作家の心構えと過 程を見ることが出来る。ビデオはアートビデオにならないように滞在中の旅行ビデオとして編集したもの。観光、買い物、展示のために営団地下鉄から借りたミラー・テーブルなどの交渉などが盛り込まれている。 ここで注目して頂きたいのは、さらにオレンジの壁の裏側の作家自身が事務所として使用していた事務 所も展示スペースとして公開している点。これは展示へのプロセスがより生々しく伝わってくる効果をもたらしている。また、ビデオの中に所々垣間見える東京での日常風景をも収録している点だ。何気ない日常生活にこそ今、アートを。 |
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