EXHIBITION
展示内容
ぼくは初期からずっとVとRのはなしをしています。(...)
ワタリウムでワタリウムを体験し、
この世界でこの世界について想いを馳せ、
あなたがあなたについて考える。
身体をともなってその場所の解像度を上げ、
重層化させる。 — 雨宮庸介
雨宮庸介、東京の美術館で初めての個展。
25年前の最初期の作品をそれ以来ぶりに出品。
ワタリウム美術館を舞台に制作した最新VR作品を中心とするVR作品の総決算。
この展覧会は、アーティスト雨宮庸介の活動の初期から現在までを見通せる展覧会です。2000年初頭の作品から始まり、「溶けたりんごの彫刻」や「石巻13分」の記録映像、「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」のペーパーなどを含み、さらに最新作として今回の設営期間にワタリウム美術館で撮影するVRが展示され、それは「話す、語りかける」「イメージを絵の具で描く」「歌や楽器やダンス的要素」など新たなアート体験を提供します。さらに会期中の毎週土曜日夕方、「人生最終作のための公開練習」が行われ、観客が雨宮の制作現場に立合うことが出来ます。
今回の展覧会タイトル「まだ溶けてないほうのワタリウム美術館」は「溶ける以前の状態が継続している」という、実はデュシャン以降のアートをアートたらしめている「過去完了」をそっと召喚しようと試みます。同時にこれは、平和にみえる無関心な日常さえも実は「まだ戦争が起きていないほうの静寂」でもあることを顕在化せんとするものです。
本来「ここではないどこか」に自身をカジュアルに転送するために設計されているはずのVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用しつつ、むしろ「どこかではないここ」に丁寧に連れ戻し、この世界そのものについて肯定を試み、仮に祝福にまでこぎつけると「この世界」と「この世界」が秘密裡に並走しはじめる。
そんな仮説を今読んでいるあなたにそっと耳打ちすること、それこそが僕なりのアートの実践であり本展覧会で試みられることです。
2024年10月 雨宮庸介
For the Swan Song 2024:雨宮庸介による「人生最終作のための公開練習」を行います。会期中毎週土曜 17:00-18:00
Swan Songとは、最終作や絶筆のことを、白鳥が死に際に鳴くことをなぞって表す言葉。
※ 当日有効の「雨宮庸介展」入場券をお持ちの方は、自由にご参加いただけます。
まだ溶けてないほうのラジオ(YBS)公開収録
WORKS
作品
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Apple, 2023 年 林檎材に油絵具 林檎実物大(縦8cm×11.8cm×高6.2cm)
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「りんご宇宙―Apple Cycle / Cosmic Seed」展示風景 弘前れんが倉庫美術館 2021年
Photo:ToLoLo studio -
最新VR作品のためのドローイング 2024年
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胡蝶の正夢 2000年 FRPにテンペラと油彩の混合技法、台座
Photo:Yasunori Tanioka -
「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」出品作「わたしたち2010年3月19日ー7月4日」の出入り口
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「石巻13 分」Reborn-Art Festival 2021-22
Photo:Takehiro Goto
PROFILE
プロフィール
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雨宮庸介
Yosuke Amemiya
山梨県在住。1975年茨城県生まれ。2013年 アムステルダムのサンドベルグインステテュートにて修士課程を修了。その後ベルリンに拠点を移し10年ほど拠点にしていた欧州から2022年に帰国、現在山梨県在住。ドローイング、彫刻、パフォーマンスなど多岐にわたるメディウムによって作品を制作。リンゴや石や人間などのありふれたモチーフを扱いながら、超絶技巧や独自の話法などにより、いつのまにか違う位相に身をふれてしまう感覚や、認識のアクセルとブレーキを同時に踏み込むような体験を提供している。「Reborn-Art Festival 2021-22」「国東半島芸術祭」などの芸術祭、国内外の美術館での展覧会に多数参加。
EVENT
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