EXHIBITION
展示内容
概要
この度ワタリウム美術館では初となるパフォーマンス公演のような展覧会を開催します。1公演6名のツアー型の展覧会です。
梅田哲也はこれまで、回遊型の個展『O才』(2014)から続く一連の作品や、船で夜の水路を巡る『入船(ニューふね)』(2015〜)など、様々な場所でツアー形式の作品を発表してきました。ワタリウム美術館では初となる個展 『wait this is my favorite part / 待ってここ好きなとこなんだ』は、 1990年9月にプライベート・ミュージアムとして開館した ワタリウム美術館そのものを主役としたツアー型の展覧会です。
展示作品はワタリウム美術館の建築的な側面に焦点を当てて制作され、ツアーの一環で、これまで展示室として使用されていなかった部屋が初めて公開されます。
また、この展覧会は ワタリウム美術館を劇場として開催される舞台公演でもあります。鑑賞者はツアーの進行中ところどころで登場するキャストの行動に誘導されながら、施設内の展示室やバックヤードを巡り、日常の風景を異化させる仕掛けに遭遇します。少人数ごとに時間差で出発する約50分間のツアーは、美術館の建設以前や建物に刻まれた行動の痕跡を辿りながら、鑑賞行為のタイムラインと立体的に交差します。
「 頭の中に地図を描くことで、自身の存在が強烈な実感を伴う瞬間があります。たとえばそれは岬の先端に立って、地図上のトンガリに立った自分を想像するようなこと。視線が身体から飛び出して上空から小さな自分を俯瞰しているような感覚。時間や歴史においても同じで、今いる場所にかつて何があったのか、何がおこなわれたかを想像することは、存在を確かなものにしてくれます。これはきっと時間の地図を描くようなことです。
いわゆるホワイトキューブとは異なる独特な展示空間はどのようにして生まれたのでしょうか。美術館がある三角形の土地は、1964年のオリンピックのために建設された道路が住宅密集地を切り裂いたことから発生しました。その直後、和多利一家はこの地へ引っ越してきます。1972年、現在ワタリウム美術館を運営している姉の恵津子が高校生、弟の浩一が中学生になった頃、母の志津子が自宅に現代アートのギャラリーをオープンしました。これがワタリウム美術館の前身であるギャルリー・ワタリです。
自宅の改装から始まった小さなスペースは、世界のアートの中継点として活躍する美術館となっていきました。これまでに100を超える展覧会を開催し、最も多く開催されたシリーズ展覧会のタイトルは「アイ・ラブ・アート」です。
和多利一家の、自分が生きてきた場所で大好きなものを知ってほしいという根源的な動機に触れて、自分もこの美術館のなかで自分なりの好きを探そうと思いました。そして、来館する人たちにもそれぞれのお気に入りを見つけてもらおう。 これはそういう展覧会です。 」
2023年10月 梅田哲也
「2ヶ月間、ワタリウム美術館は劇場になります」
予約方法
事前予約制(先着順)
ArtSticker(下記のチケット予約サイトボタンより) または ワタリウム美術館1F受付にてお申し込みください。
※ ご予約はツアー開始30分前までにお願いいたします。
※ 無料の方、本展パスポートをご購入の方、ご参加すべての方のご予約が必要です。
ツアー情報
ツアー時間:
13:00以降、毎20分ごとにスタート、所要時間約50分(下記の時間に出発)
13:00〜 / 13:20〜 / 13:40〜 / 14:00〜 / 14:20〜 / 14:40〜 / 15:00〜 / 15:20〜 / 15:40〜 / 16:00〜 / 16:20〜 / 16:40〜 / 17:00〜 / 17:20〜 / 17:40〜 / 18:00〜
定員:各回6名
注意事項:
○ 歩きやすい服装でお越しください。
○ 受付はツアー開始10分前から開始します。1Fショップでお待ちいただけます。必ず定時で出発します。遅れた方はご参加いただけませんので、余裕を持ってお越しください。
○ 当日の参加申込は、空きがある回に限り、開始30分前より美術館受付にて承ります。
○ ツアーは階段の移動を含むため、車椅子でのご来場や、階段での移動が困難な方は、お申込の際に、ワタリウム美術館までお知らせください。スタッフが別ルートでご案内します。
○ 小学生以下のお子さんのご参加には保護者の同伴が必要です。
○ 未就学児のご参加には、保護者の同意書が必要となります。
※ 内容が更新・変更した場合、公式ホームページ/SNSにて随時公開していきます。
WORKS
作品
PROFILE
プロフィール
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Photo : Tanaka Chihiro
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梅田哲也
UMEDA Tetsuya
現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方で、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱のプロジェクトなどを発表。先鋭的な音響のアーティストとしても知られる。
近年の個展に「梅田哲也 イン 別府『O滞』」(2020-2021年)、「うたの起源」(福岡市美術館、2019-2020年)、「See, Look at Observed what Watching is」(Portland Institute for Contemporary Art、2016年)、公演には「9月0才」(高槻現代劇場、2022年)、「Composite: Variations / Circle」(Kunstenfestivaldesarts 2017)、「INTERNSHIP」(国立アジア文化殿堂、2016年 / KAAT神奈川芸術劇場ホール、2018年)などがある。
CAST / STAFF
キャスト / スタッフ
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坂井遥香 / SAKAI Haruka
2014年野外劇で知られる大阪の劇団 維新派に入団し、2017年解散までの作品に出演。2018年岩手県陸前高田市で滞在制作された映画『二重のまち/交代地のうたを編む』(監督:小森はるか+瀬尾夏美)に参加。近年の出演作に 孤独の練習『アノニム』、梅田哲也『リバーウォーク』『9月0才』、許家維+張碩尹+鄭先喩『浪のしたにも都のさぶらふぞ』(YCAM)など。場所や土地と関わりを持ちながらつくる作品に縁・興味がある。
Photo : Inoue Yoshikazu -
レオ・ロズダル・アブダル・篠崎 / Leo Røsdal AVDAL SHINOZAKI
2002年生まれ。日本人とノルウェー人のミックスで、ブリュッセルの中心部で生まれ育つ。現在の拠点であるオスロに住んで2年。趣味はバスケットボール、筋トレ、美術鑑賞、アニメ鑑賞。オランダ語、英語、ノルウェー語、日本語、フランス語の5カ国語が話せる。梅田哲也のエキシビションに参加するのは今回が2回目。1回目は福岡で家族全員で参加した。 -
くるみ / Kurumi
2006年東京都生まれ。だいたいいつも家にいる。毎日、絵を描いている。たまにカレー屋でバイトもしている。梅田哲也とは8歳の時に「1週間テニスコーツ」(2014)にて1週間を共に過ごす。「イッツ・ア・スモールスモールワールド」(2021)という小さな自作作品の展示をした。演出家である父親の舞台に出ることもある。この先、何をやっていくのか模索中。
©KIKUKO USUYAMA -
長沼航 / NAGANUMA Wataru
俳優。1998年生まれ。 散策者とヌトミックの2つの劇団に所属しつつ、俳優の立場から演劇やダンスなど舞台芸術の創作・上演に幅広く関わっているほか、演劇/演技の創作過程についての論考やエッセイ、記事などの執筆を行っている。 最近の出演作は、散策者『西尾久を散策した』(2023)、ヌトミック『サンデードライバー』(2023)、ヌトミック+細井美裕『辿り着いたうねりと、遠回りの巡礼』(2023)。 -
ヒカル・ワタリ / WATARI Hikaru
港区で生を受け、青山のまちで育つ。小学校時代は港区随一の秀才で知られるも、「能ある鷹は爪を隠す」をmottoに公立中学校に入学。サッカー部に入部後、天性の才能を発揮し「1日メッシ」の伝説を残し引退。高校ではドストエフスキーに憧れ、ロシア語を学ぶも3年間で成績は10段階の2に終わる。もちろんロシア語は全く話せない。少しずつ変わっていくこのまちに寂しさを感じている。 -
仁田晶凱 / NITA Akiyoshi
日本大学芸術学部を中退後、ベルギー・ブリュッセルにあるコンテンポラリーダンス専門学校P.A.R.T.S.(パーツ)にて振付を学ぶ。東京を拠点に振付家、ダンサーとして舞台、映像、イベント等に出演。これまでに自身振付作品を神奈川県立青少年センタースタジオHIKARI(横浜市)、犀の角(上田市)等の日本各地の劇場に加え、アンスティチュ・フランセ東京、ゲーテインスティチュート東京、ギャラリーASAKUSA等にて上演を行う。ダンスカンパニー「Co.山田うん」所属。自身の作品の公演制作を行う団体「オータムプロダクションズ」代表。 -
きい柚 / Kiiyu
2005年京都生まれ。横浜市在住。現在、大学で建築を学んでいる。今回の展示を見て昔ワタリウム美術館で見たたくさんの足を思い出した。ハンカチ落としをしたときの足。その時に皆が持っていたブーツとハンドバック。自分がハンカチ落としをしているようにも、ハンカチ落としをしている自分を見ているようにも感じた。 -
天野祐子 / AMANO Yuko
私たちをとりまく世界や生きものとの関わりを通し、同じ対象物がいつしか別のものとして、または別の対象物が同じものとして認識されたりする認知の仕組みや、人の深層に存在する記憶やイメージに関心を寄せた写真作品を制作。近年の展覧会として「VOCA展2023」(上野の森美術館、2023)、「See the Light」(HAGIWARA PROJECTS、2022)など。「梅田哲也 イン 別府『O滞』」(別府、2020-2021)に写真家として参加。
Photo : Hristina Petrovikj -
辰巳量平 / TATSUMI Ryohei
シルクスクリーン印刷を用いてTシャツなどを制作。印刷にまつわる紙、文房具、インクなども制作し、印刷の可能性を追及している。印刷会社で勤務しつつ、残りの週2日は「二日印刷」として活動中。シルクスクリーンワークショップや印刷イベントの企画運営を行う。活動の一環としてTOKYO ART BOOK FAIR 2023に「FREE PAPER CENTER」で参加。 -
岩中可南子 / IWANAKA Kanako
1981年東京都生まれ。2012〜2017年まで民間企業が運営するコミュニティ・スペースSHIBAURA HOUSEにてプログラムの企画運営を担当。日常から生まれる表現や、多様な背景をもつ人々やコミュニティとの協働作業を通した表現活動に関心を持ち、現在フリーランスでアートプロジェクトの運営やパフォーミングアーツの制作、編集などを行う。
Photo : Ryuichiro Suzuki -
小金丸信光 / KOGANEMARU Nobumitsu
1987年神奈川県生まれ。フジワラテッペイアーキテクツラボにて住宅や公共施設の設計、展覧会の会場構成、作品のサポートを担当した後、GANEMAR設立。コンテクストや趣味嗜好など、雑多なパラメータを扱いながら建築の設計に取り組む。主な作品サポートとして、梅田哲也『針の目』(2019)、会田誠『東京城』(2021)など。 -
深野元太郎 / FUKANO Gentaro
服飾業に携わる。
2009年より美術に携わり、その先々で知り合った人々との関係から今に至る。2017年、友人たちとpine tree clubをつくり「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2018」に参加。言葉に回収されない好奇心に正直に、ゆっくりと活動。
Photo : AOKI takamasa -
井上修志 / INOUE Shuji
自身が持つ3.11の経験から社会の脆さや危うさ、また対峙する社会と自然の構造に興味を持つ。公共空間に作品を持ち込み、場所で物理的に規定される事、或いは場所へ依存する作品が多い。空間が持つ歴史や意味性を紐解き、自らのフィルターを通して現在と接合する。日常生活で不要になった物や廃棄物などを素材とした彫刻作品やインスタレーション作品を手掛ける。 -
新美太基 / NIIMI Taiki
楽曲制作と共に、音楽プレーヤーや楽器などを自主制作した音響インスタレーション作品を制作。またプログラミングや装置の製作などを通し、様々なアーティストやミュージシャンの音響や展示制作をサポートすることを活動とし、近年では∈Y∋(BOREDOMS)の新プロジェクトFINALBY( )のメンバーとして、フジロックフェスティバル‘21に参加。またSIDE COREのプロジェクトにおいて「Reborn-Art Festival」(2022)に参加している。 -
尾中俊介 / ONAKA Shunsuke
グラフィックデザイナー/詩人。2007年「Calamari Inc.」を設立。主に美術関連の印刷物を手がける。最近の仕事に『自治とバケツと、さいかちの実-エピソードでたぐる追廻住宅-』(せんだいメディアテーク)、飯山由貴『あなたの本当の家を探しにいく』(東京都人権プラザ)、志賀理江子『SHIGA Lieko』(TCAA)、AHA編『わたしは思い出す 11年間の育児日記を再読して』(remo)、梅田哲也『O滞』(T&M Projects)など。
SCENE
会場風景
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撮影:後藤秀二
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撮影:後藤秀二
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撮影:後藤秀二
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撮影:後藤秀二
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撮影:後藤秀二
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撮影:後藤秀二
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撮影:後藤秀二
EVENT
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