EXHIBITION
展示内容
新型コロナウイルスのパンデミックで展覧会が延期になったり中止になったりして、久々にスタジオでゆっくりプラモデルを作っていた。
ヤフオク!やeBayで調べていたら、動物や昆虫などのプラモデルを発見し、昔のプラモデルは面白いなーと思い、買いあさっていた。作っているうちに、これは作品に使えると思いだし、早速木彫にひっつけてみた。
これはいけると思い、どんどん作った。そうしているうちに、友人に「ゴモラキック」の神藤政勝さんを紹介された。彼はフィギュアやプラモデルを作っている人だった。「何かやりたいですね!」と話をしているうちにすぐに「プラモデル、しかも石作品の!」と閃いた。
石がプラモデル。デカールが絵。
今までの僕の作品ともつながるグッドアイデアだと思う。
もちろん箱も僕が作るのだ。
素晴らしい。モチベーションはMAXだ。
そうしてプラモデルが完成し、この展覧会を開催することになりました。
プラモデルを使ったシリーズと、それらにつながる僕の作品を見てください。
加藤泉
加藤さんとは2022年のリボーンアート・フェスティバル(*)への参加をお願いして、何度かお目にかかり、アトリエを訪ねているうちに、この「寄生するプラモデル」の開催となった。
リボーンアート・フェスティバルのために作られたこの作品は、石巻近くで採れる稲井石を組んで、それに直接ペイントした「ヒトのような像」で、東日本大震災で最も大きな被害のあった南浜地区に唯一残った蔵の前に3体展示されていた。気持ちよさそうに横たわるその姿は、観るものをほっとさせ、生の喜びのようなものを感じさせる。
加藤さんの作品にはこの「ヒトのような像」が必ず登場する。精霊なのか、神なのか、縄文人のような古代人か、あるいは未来から来たものか。インタヴューで自身が島根県安来市の出身で、妖怪漫画で有名な水木しげるが中海を挟んだ対岸の鳥取県境港市の出身で同じ文化圏であることを話されていたが、加藤さんがそうした八百万の神と自然に囲まれて育ったことは作品に大きな影響を与えていると思う。だからといって加藤さんの作品は神がかったいわゆる“ありがたい”ものではない。今回の展覧会で使われる素材は、これまでの木や石といった自然素材に加えてプラスチック製のプラモデルやソフトビニールも登場する。加藤さんの少年期のノスタルジックな素材感からやってきたものだろう。今、加藤さんはそんな自身の育った場所や時間や潜在意識の中にある自然への思いなどを縦横無尽に取り込んで、のびのびと作品を作り続けている。
そんな現在の加藤さんの姿は、ワタリウム美術館がこれまで続けてきた美術との向き合い方とどこか通じるところがあり、同志の感のようなものを抱いた。自由や自然の力を見失いかけている2022年の東京で、加藤さんの作品を紹介できることをとても嬉しく思っている。
和多利浩一(ワタリウム美術館) 本展カタログのためのテキストより
*「Reborn-Art Festival 2021-22」[後期]。2022年8月20日~ 10月2日、宮城県石巻市で開催された芸術祭
WORKS
作品
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オリジナル・プラスチックモデル
photo by Kei Okano -
オリジナル・プラスチックモデル
photo by Kei Okano -
無題、2022
⽊、プラモデル、ソフトビニール、アクリル絵具、ステンレススチール
photo by Kei Okano -
ITC, 2021
彫刻:プラモデル、木、石、アクリル絵具、ステンレススチール
布作品:布、プラモデル説明書、刺繍、コラージュ、ペン、パステル、アクリル絵具、Set of 2 works
photo by Kei Okano -
ITC, 2021
彫刻:プラモデル、木、石、アクリル絵具、ステンレススチール
布作品:布、プラモデル説明書、刺繍、コラージュ、ペン、パステル、アクリル絵具、Set of 2 works
photo by Kei Okano -
無題、2022
⽊、プラモデル、ソフトビニール、アクリル絵具、ステンレススチール、Set of 9 pieces
photo by Kei Okano -
無題、2020
⽊、プラモデル、⾰、アクリル絵具、ステンレススチール、真鍮
photo by Kei Okano -
無題、2020
ソフトビニール、プラモデル、⽊、ステンレススチール
photo by Kei Okano -
「加藤泉ー寄生するプラモデル」展覧会限定スペシャル ポスターリトグラフ、2022
和紙にリトグラフ
photo by Kei Okano -
無題、2022
石、アクリル絵具
協力:Reborn-Art Festival 実行委員会
PROFILE
プロフィール
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加藤泉 photo by Claire Dorn
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加藤泉
Izumi Kato
1969 年島根県⽣まれ。 1990年代末より画家として本格的にキャリアをスタート。子供が描くようなシンプルな記号的な顔のかたちに始まり、現在まで人がたを手がかりに展開している。 2000年代から木彫作品を発表し、現在は、ソフトビニール、石、布、プラモデルなど幅広い素材を使い制作している。主な個展として、Red Brick Art Museum (北京、2018年)、Fundación Casa Wabi (プエルト・エスコンディード、メキシコ、2019年)、原美術館/ハラ ミュージアム アーク(東京/群馬、2館同時開催、2019年)、SCAD Museum of Art (サバンナ、米国、2021年) など。
SCENE
会場風景
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撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
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©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
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©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
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©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato -
撮影:佐藤祐介
Courtesy of the artist
©︎2022 Izumi Kato