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エンプティ・ガ−デン展  EMPTY GARDEN
会期 1999年4月24日(sat)−11月7(sun)
開館時間11:00〜19:00 *毎週水曜日は21:00まで延長
休館日:月曜日 *10月11日(月)は開館
参加作家 ヨ−ゼフ・ボイス Joseph Beuys (Germany)
ロイス・ワインバ−ガー Lois Weinberger (Austria)
オラフ・ニコライ Olaf Nicolai (Germany)
カ−ルステン・ニコライ Carsten Nicolai (Germany)
島袋道浩 Michihiro Shimabukuro (Japan)
粟野ユミト Yumito Awano (Japan)
入館料 入場料:大人1,000円 学生800円(25歳以下)
(期間中、何度も使えるパスポート制チケット)
屋外の展示は天候、会場の都合などにより公開を一時的に中止させていただく場合がありますのでご注意下さい。
ボイス作品の展示は9月5日(日)迄となります。
展示内容プロフィールイベントワークショップ
展示内容 exhibition▲PAGE TOP
庭という言葉や概念は、とらえどころのない漠然とした広がりを持っています。この展覧会のタイトルは、あえて頭に「エンプティ」を付け、空っぽを強調しています。東京という都市、あるいはそうした大きなエネルギ−の中心には、いつのまにか気泡のような空虚な場所が必ず現われます。これが今回のテ−マなのです。もともと中国で庭は、二つの意味を持ち、一つは空地(くうち=何もない、手を入れない場所のこと)、もう一つはその対極で、山や川、滝といった自然の風景を人工的に再生する園林というもので、一般的に使われている「庭」ということばは後者に属しています。

この展覧会は、20世紀の最も重要なア−ティスト、ヨ−ゼフ・ボイスの庭から始まります。ボイスが森でみつけた種を蒔き、植物学を学びながら造った小さな庭はその後の活動の源流となりました。さらに、3人の国際的に活躍するア−ティスト、また若い日本のア−ティストも加わり、精神的に、詩的に、あるいは科学的にこのテ−マを考え、取り組みました。

今回は、会場内のインスタレ−ションに加えて、ロイス・ワインバ−ガ−のル−フ・ガ−デン(ワタリウム美術館屋上)や、カ−ルステン・ニコライの『インサイド・アウト』と題されたサウンド・ガ−デン、路地裏の道草を作品に取り込んだものなど、屋外の作品も造られます。それらは、春から夏、秋から冬へと流れる時間を含んでいます。

実は、この空っぽの場所には、次世紀へこっそり抜け出すための道が隠されているのかもしれません。

プロフィール profile▲PAGE TOP
ヨ−ゼフ・ボイス Joseph Beuys (1921-1986) >>
「無題」 1940
1921年、ドイツ、クレフェルト生まれ。60年代にはフルクサス運動にも加わる。77年には「自由国際大学」を設立、82年のドクメンタ10において「7000本のオ−ク」の運動を開始。早くから自然や社会への強い働きかけを主流に活動を行っている。今回は1947〜51年ごろデュッセルドルフ芸術アカデミ−で彫刻を学んだ師エ−ヴァルト・マタレの家にボイス自身が造った庭をドキュメントすると同時に、初期ドロ−イングや立体を日本で初めて公開し、ボイス思想の源流を探る。
ロイス・ワインバ−ガ− Lois Weinberger (1947-) >>
1988年以降ウィ−ンの自庭で育てた荒地植物を町の各所に植えるというガ−デン・プロジェクトを実施。 このプロジェクトは1994年にベルリンのブランデンブルク門で行われ、されに1997年のドクメンタRでは大きな反響を呼んだ。今回の「エンプティ・ガ−デン展」のために、昨年98年春よりワタリウム美術館屋上にル−フ・ガ−デンを制作。一年間まったく手を加えることなくサバイブし続けるこの庭は、「‥‥何も影響されていない場所とは、自由を意味する」という彼のスロ−ガンを表わし、「私のアイデアの運搬人や運搬車としての植物」は確実に東京に根付いた事を証明している。
オラフ・ニコライ Olaf Nicolai (1962-) >>
「風景−自然の眺め」 1997
旧東ドイツ、ハレ市生まれ。文学、哲学、記号学を学んだのちに、ベルリンとライプツィヒを拠点に「収集(コレクション)」を主なコンセプトとして活動を展開する。1997年のドクメンタ10では、自然なものと人工的なものとの区別に意義を唱えたミニチュア・ランドスケ−プを発表。1998年、第1回ベルリン・ビエンナ−レにも参加、話題を呼んだ。文学を始め広く日本文化を知る。
カ−ルステン・ニコライ Carsten Nicolai (1965-) >>
「バウザッツ・ノト」 1997~98
ドイツのカ−ル・マルクス市生まれ。カ−ルステン・ニコライは現在ベルリンを拠点に活動する新しい世代のア−ティストである。庭師として仕事をし、ランドスケ−プ・デザインを学んだという経歴を持ちながら、実際はサブカルチャ−の世界から現われるという特異な登場だった。1995年にはレコ−ド・レ−ベル「ノ−トン」を設立してCDをリリ−ス、作品の多くもサウンドとの深い関わりを持ち、「私は、サウンド、イメ−ジ、シンボル−−それらが生み出す想像上のエネルギ−に魅かれているのです」と語る。今回は、都市の隙間を迂回するという行為を作品に取り入れ、ちょうど茶室へ続く路地のように、緊張感のなかを別世界に誘います。
島袋道浩 Michihiro Shimabukuro (1969-) >>
「町の中での“ドロ−イング”」1993
神戸市生まれ。1990年大阪美術専門学校卒業後、サンフランシスコ美術大学に編入、92年卒業。91年「タコ街道プロジェクト」、92年「贈り物」(京都)、93年「ゴリラ」(名古屋と石川)、94年「南半球のクリスマス」(神戸、広島)、97年「鹿をさがして」(茨城と東京)などのプロジェクト作品を展開。98年ア−ティスト・イン・レジデンスでマルセ−ユに2ヵ月滞在。99年はロッテルダム、マルセイユ、モントリオ−ル(カナダ)などで展覧会を予定。今回の「エンプティ−・ガ−デン展」では、東京に生きる動物と人間の関係をテ−マに、野外プロジェクトを計画している。(9月)
粟野ユミト Yumito Awano(1964-) >>
「閾(しきい)」1999
名古屋市生まれ。金沢美術工芸大学にて工業デザイン専攻卒業後、商業施設設計に従事。映像と音楽のマルチメディア・ライブ・ショウを実施。専門学校や大学の講師、助手を勤めた後、東京芸術大学大学院色彩学研究所で学ぶ。91年「ヤン・フ−ト氏の現代美術一日大学」に参加、99年第二回岡本太郎記念芸術大賞、準大賞を受賞。本展では、街のなかの、普段あまり気づくことのない“音”にフオ−カスをあて、作品制作を行う。
 
イベント event▲PAGE TOP
サウンド・パフォーマンス+対談
『インサイド・アウト』 >>


4月24日(sat) 18:30-21:00
カールステン・ニコライ氏

1965年ドイツのカール・マルクス市に生まれる.庭師として働いた後、1985年から1990年にかけてドレスデンでランドスケープ・デザインを学ぶ. 90年初頭から音響や立体による独自の作品を制作、95年にはレーベル「ノートン」を設立してCDをリリースするなど、テクノ・カルチャーとも関わった活 動を広く展開している。

「私はサウンド、イメージ、シンボル──それらが、生み出す想像上のエネルギーに惹かれているのです.」

池田亮司氏(音楽家)

講師:浅田彰氏(京都大学助教授)
参加費:3000円
レクチャー
ヨーゼフ・ボイスの自然論 >>


4月24日(sat) 15:30-17:30
講師:グイド・デ・ヴェルド(ドイツ在住、美術評論家)


レクチャー+パフォーマンス
自然との対話 >>


4月24日(sat) 19:00-21:00
講師:ロイス・ワインバーガー(出展アーティスト)


スライド・レクチャー
庭と住まい ―その隠された秩序―
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5月28日(fri) 19:00-21:00
参加費:3000円
講師:稲次敏郎(東京芸術大学名誉教授)
ワークショップ workshop▲PAGE TOP
EMPTY ClUB エンプティ・クラブ

講演
「自分だけの景色」 >>

9月9日(thu) 19:00-21:00
講師:隈 研吾 氏(建築家)
参加費:3000円

「みんなのアート」が解体し、一人一人が「僕だけのアート」を見つけ始めたのである。町の景色は何も変わっていない。しかし、その中に、無数の「僕だけのアート」が埋め込まれる時代が、もう始まっている。(朝日新聞 1999年6月12日夕刊より)自然と技術を媒介とする「建築の消去」を唱え、ランドスケープ、マルチメディアと建築との一体化を追求している。


レクチャーワークショップ
「心とゆらぎ」 >>

9月16日(thu) 19:00-21:00
講師:武者利光 氏
((株)ゆらぎ研究所/(株)脳機能研究所・代表、東京工業大学名誉教授 理学博士)

参加費:3000円

トランジスタや半導体の中に現れる「ノイズ」(雑音)の研究からスタートし、自然現象の中に普遍的に観測される一定のノイズに注目、それを1/fゆらぎと名付けます。これらがある種の快楽をよびおこすことから、美しさの源泉が「乱れている」あるいは「ゆらいでいる」ことと深く関わることがわかってきました。
今回は、この研究を続けておられる武者氏のお話と脳波から感性を測定するワークショップを実施します。


レクチャー
「本の庭園」 >>

9月30日(thu) 19:00-21:00
講師:多木浩二 氏(哲学者)
参加費:3000円

書物を書くというのは、自分の書いた言葉が、見知らぬ人の書いた無数の書物の上にひろがっていくことができればいい、と思うことである。同じことだが、自分の書いた書物の下には、すでに書かれた無数の過去の書物が地層をなして横たわっている。むしろまだ書かれていないすべての書物が形成する空間のなかで、未知の書物との関係えお介してみずからを構成する。まだ分からない世界に向かって歩き始めること、それが書物という庭園の散策である。
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ワタリウム美術館
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東京都渋谷区神宮前3-7-6
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