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ヨハネスブルグ・ビエンナーレ帰国展 REPORT FROM JOHANNESBURG BIENNALE
会期 1995年6月30日(fri)−8月20日(sun)
参加作家 阿部浩二 Koji Abe
蔡 國強 Cai Guo Qisng
エゼキエル・ブデリィ Ezekiel Budeli
キュレーター 和多利浩一 Koichi Watari
主催 ヨハネスブルグ・ビエンナーレ日本参加事務所
後援 在南ア日本国大使館
ヨハネスブルグ・バイアニュアル事務所
(社)企業メセナ協議会認定
助成 国際交流基金
協賛 資生堂, 日産南アフリカ, 南アフリカ航空

 Organized by Tokyo office for the Japanese participation
 to the First Johannesburg  Biennale
 Supported by Embassy of Japan in South Africa Johannesburg B
 ennnale OfficeAssociation for Corporate Suport of the Art
 Grant ミin-aid from Japan Foundation
 Cooperation from Shiseido Nissan South Africa South African Airway

展示内容作品会場風景
展示内容 exhibition▲PAGE TOP
ビエンナーレのオープニング公式イベントとして火薬のプロジェクト「制限のある暴力ー虹」を蔡國強の作品として開催。これは1920年代に建設された長さ300mを有する発電所の外壁に導火線と小型爆薬を仕掛け、爆発の炎と破砕された窓ガラス、そして外壁の痕跡によって虹を描くというものであった。ネルソン・マンデラがレジスタンス運動で採択した経済拠点のみを工作対象とする方針と、現在の新生南アフリカを虹の国として蘇えらせようとするスローガンを込めた作品となっている。アートというメディアで南アフリカに蔓延する暴力に対し、西洋ではガン・パウダーとよばれる火薬を、その本来の意味「火のくすり」として用いたのである。
テクニカル的には通常CAIが使う導火線5本をねじりながら1本にしたものを3本をスコール防止のための厚手ビニールと共に壁に打ち付けていく。窓ガラスには1枚1枚特製の小型爆弾を貼っていく準備を行う。この小型爆弾も導火線連なっているため導火線の火の走る早さが早すぎて小型爆弾が落ちてしまうため強い粘着と爆風に耐えうる粘着製が求められた。勿論小型爆弾の強力性も何度も実験を行い、窓ガラスがけを割る(強すぎると窓枠ごと爆破してしまう)強さに調整された。それにより一枚づづ割られた窓は日中にはまるでマシンガンで割られた後のような虹の痕跡をも表す両面性を持っていた。実際の設置は当日の朝7時から12時間かけ地元消防自動車のハシゴ車2台によって行われた。

和多利浩一
 日本館コミッショナー/ワタリウム美術館 キュレイター


1995年2月28日から4月30日までの二ヶ月間、南アフリカのヨハネスブルグ市が主催する第一回ビエンナーレが開催された。これはアフリカ大陸で初めての大規模な現代美術展であり、また南アフリカ共和国が昨年の総選挙で350年余りの白人支配に終止符を打ったばかりの、ネルソン・マンデラが率いる新生国家であるという話題も手伝って、61カ国400人の作家が参加するという大規模なものとなった。出展作家の選定をもとめられ、私はその命題を「熱」とし、阿部浩二・蔡國強・エゼキエル・ブデリィの三人を選出した。

阿部浩二は1970年大分市生まれの新人である。人間の内的な熱に着目した『知恵熱』のシリーズ、またキャンパスを真っ赤に塗り、落ちていた取っ手をつけた『取っ手つけたもの』などを発表。コタツ、蚊帳、ダルマといった日本ではどこにでもある道具を本来とは異なる文脈上に置き換えることに成功しているだけでなく、それらを使って日本の風土に潜在している秩序をも浮かび上がらせる。それは内と外、個と社会、日本と他国といった曖昧でうつろいやすい領界にも言及している。

火薬を使用したプロジェクトで知られている蔡國強は1987年に中国から来日した。「蛇袋」では生きている蛇を作品に取り入れ、「灸療法―アフリカのために」には、中国のお灸をインスタレーションに取り入れている。ビエンナーレのオープニングに際して、室外での火薬のプロジェクト「制限のある暴力―虹」をおこなった。これは1920年代に建設された発電所の外壁に導火線と小型爆薬を仕掛け、爆発の炎と破砕された窓ガラス、そして外壁の痕跡によって虹を描くというものであった。ネルソン・マンデラがレジスタンス運動で採択した経済拠点のみを工作対象とする方針と、現在の新生南アフリカを虹の国として蘇えらせようとするスローガンを込めた作品となっている。アートというメディアで南アフリカに蔓延する暴力に対し、西洋ではガン・パウダーとよばれる火薬を、その本来の意味「火の薬」として用いたのである。

南アフリカ、ヴェンダ地方出身のエゼキエル・ブデリィは、アフリカの土着の言い伝えや神話を作品のベースとし、近代都市のもつ矛盾や虚無を素材感、質感で表現する。彼の作品にはアフリカの赤い大地からの熱が内臓され、また絶え間なく放射されている。

この三人は「熱」を視覚的に表すことに成功している。いつどこにおいても、変化は熱を伴って行われてきている。氷河期と温暖期がくり返す大気の温度変化、火の発見と錬金術、人体の発熱、そして私たち日本人は戦いの熱、原爆の熱をも体験している。彼らの異なる熱、思考のエネルギーを感じ取ることによって、我々の凝り固まった既成概念、物質に執着する価値観を溶かし、変化を促す。これは決して瞑想的なものでも宗教的なものでもない、身近でありながら彼方に離れている次元へ、我々を身体の中へ、大地の中へ、宇宙へ、未来のドアのすぐ近くへと移動させる。「熱」はそのための媒体である。このとても不確かで、うつろいやすく、曖昧なしかし確実な「熱」に、私は日本と南アフリカ共和国の新しい方向を見定めたいという願いを託した。

作品 work of art▲PAGE TOP
阿部浩二 >>













知恵熱D Wisdom Fever D
こたつヒター5台、キャンバス、金魚
蔡 國強 >>


蔡 國強 灸療法ーアフリカのために
Cai GUO QIANG Moxacautery-for Africa, 1995

空中に吊られた男性と女性の木彫は、南アフリカの職人に製作依頼し、ツボと医療効果が墨で描かれている。実際にお灸を炊いてあるので、空間に入ると臭覚と煙りによって特異な空間を創りあげている。観客は廻りに貼られた人体図と、木彫の書かれた説明によって自分自身の人体に試すことができる。吊られた木彫は南アフリカのランドスケープの様にも見ることができる観客に治療体験させると共にアフリカ社会や環境自体を治療することに願いを込めている。


蔡 國強 蛇袋ー多元文化
Cai GUO QIANG Snake bag - Multiculture, 1995

日本からは蛇袋を釣り下げている古い秤と自動タイマー付き電気、暗くなると張り込まれた図像があらわれるマジックミラー三枚を持参、それ以外の素材は南アフリカにて製作。

蛇袋の中には南アフリカに生息する蛇が5、六体生息している。観客はランプ点灯時に、三枚の鏡を使って中の蛇を見ることができる。ランプ消灯時は、三つの鏡が異なる蛇に関わる図像を見ることとなる。一つは聖書からで、蛇がイブに禁断のりんごを告げるシーン。2つ目は中国の龍。三つ目はアフリカの神話で、神様からの幸運を運ぶメッセンジャーとしての蛇が鏡に隠されている。蔡 國強は、蛇という一つの生き物が、異なる場所によって、全く異なる価値観を持つ神話が創られていることを伝えている。
エゼキエル・ブデリィ >>

会場風景参照

会場風景 scene of gallery▲PAGE TOP
1. 「無題」 エゼキエル・ブデリ / Ezekiel Budeli
鉄の溶接出来た人型の彫刻最終的に3体に増えている

2. 「知恵熱D」 阿部浩二 / koji Abe
キャンバスで構成された4畳半の空間。
中にコタツのヒタ−5体に金魚の彫刻を付属している
3.「知恵熱E」 阿部浩二 / koji Abe
ダルマを宙に吊り、赤い布を被せて顔を被っている。

4.「MASK」エゼキエル・ブデリ / Ezekiel Budeli
コルクやタイヤ石こうなど廃材で創られている。

5.知恵熱Fエゼキエル・ブデリ / Ezekiel Budeli
建物自体に穴が空いていた視覚にキャンバスを埋め込んで創った作品
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ワタリウム美術館
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東京都渋谷区神宮前3-7-6
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e-mail: official@watarium.co.jp