坂口恭平とは誰だ?
彼は自らを『新政府』の総理大臣と称し、活動を行っている。その設立までを記した書籍『独立国家のつくりかた』は5万部以上を売り上げ、建築やアートといったジャンルを飛び越え多くの人たちから注目を集めている。
坂口恭平は、大学の建築学科3 年の時、隅田川の"鈴木さん"という路上生活者と運命的な出会いをする。"鈴木さん"はブルーシートの上にソーラーパネルを設置して、車のバッテリーですべての電力をまかない、近くの図書館を自分の書斎、公園をリビングルームにしていた。その発想に驚愕した坂口恭平は、路上生活者をインタビューし、観察を始める。以後、不動産は不要だという考えのもと、移動出来る「モバイルハウス」を制作していく。
そんな"建てない建築家"坂口恭平を『新政府』樹立に駆り立てたのは、3.11 だった。ヨウ素とセシウムが検出されたにも拘らず、それを国民に告げない今の日本政府は、もはや政府として機能していない、つまり現状は無政府状態として、2011 年5月10 日、新しい政府を設立し初代内閣総理大臣に就任する。まずはじめに生まれ故郷熊本に築80 年の一戸建を有する200 平米の土地を3 万円で借り、首相官邸とし、「ゼロセンター」という名の避難所にした。震災2 ヶ月後から避難がはじまり、およそ一ヶ月で100 人以上が来た。2011 年の夏には福島からの子ども50人を3 週間、サマーキャンプとして熊本に滞在させた。彼はまた自分の携帯電話の番号をHP やメディアで公開し「いのちの電話」として死に急ぐ人たちと話している。 |