クマグスの森 南方熊楠の見た夢    english
会期

2007年10月7日(日)-2008年2月3日(日)

開館時間11:00〜19:00 *毎週水曜日は21:00まで延長
休館日:月曜日(但し10月8日(祝)、
        12月の月曜日(3日、10日、17日、24日)
        1月14日(祝)は開館) 
        12月31日-1月4日まで年末年始は休館

入館料 入場料:大人1,000円 学生800円(25歳以下)
(期間中、何度も使えるパスポート制)
会場 ワタリウム美術館 2 階、3階、4階
主催 ワタリウム美術館
協賛 株式会社資生堂
ngi capital 株式会社
発泡スチロール再資源化協会

展示協力
出品協力

後援


株式会社日立製作所
南方熊楠顕彰館/国立科学博物館/高野山別格本山一乗院/栂尾山高山寺/財団法人南方熊楠記念館
和歌山県

コンセプト:松居竜五
資料データー協力:岩崎仁
映像制作:大房潤一
会場デザイン:藤原徹平(KKAA)+伊藤暁+平辻里佳+川口圭介

展示内容イベント
展示内容 exhibition▲PAGE TOP
腰巻き一つを身にまとって立つ怪しい男。これは1910(明治43)年、和歌山県田辺市に近い林の中で撮影された43歳の南方熊楠の姿である。林中裸像と呼ばれる写真、なぜこんなものが遺されているのだろうか?

展覧会、第一章は「世界を放浪する」。19歳の熊楠は、東京大学予備門を退学して、突然アメリカへと旅立つ。以来33歳で貧窮のためロンドンから帰国するまでの14年、南米、ヨーロッパなど各地を放浪している。そこで熊楠の観たものを検証する。 (4階)

第二章は「熊楠の内的宇宙」と題して、夢や身体、タブー論や民俗現象などを取り上げる。本展ではじめて公開される多くの興味深い資料によって熊楠の知られざる一面が登場する。(3階)

第三章は、「森の命」。熊楠が那智で実施した生物研究の成果は圧倒的な数の標本によって遺されている。地を這い、空を飛ぶ粘菌、海藻、昆虫など。今回は国立科学博物館の協力により400点のきのこ図譜の展示が実現した。熊楠の手で丁寧に彩色された図譜は驚くほど生命力に溢れ、絵画を超えた美しさを持つ。また、「熊楠シアター」では那智の自然や熊楠の4チャンネル映像を映す。(2階)

熊楠の博物学者、民俗学者、植物学者としての功績は既に広く知られている。しかし自由で奔放な生き方をたどるとき、熊楠の研究が権威にしばられた既存の学問とは一線を画したものであったことが分かってくる。この写真、林中裸像の中の姿のように、ついには熊楠が自然の一部となることを目指したのではなかったか。


南方熊楠 略年譜
1867年(慶応3) 0歳 4月15日、父・弥兵衛【やへえ】、母・スミの次男として和歌山城下橋丁【はしちょう】に生まれる。
1875年(明治8)8歳 『和漢三才図会』【わかんさんさいずえ】(105巻)などの筆写を始めた。
1884年(明治17)17歳 9月、大学予備門に入学。同期生に夏目漱石、正岡子規ら。1886年(明治19) 2月、予備門を退学後、12月に渡米。
1887年(明治20) 20歳 1月、サンフランシスコに上陸、同地のパシフィック・ビジネス・カレッジ、のちランシングの州立農学校へ入学。翌年の退学後は、独学で西洋思想を学び、植物採集を行う。
1891年(明治24) 24歳 4月、フロリダ、キューバなど各地で植物を調査。1892年(明治25)9月、ニューヨークからロンドンへ渡る。
1893年(明治26) 26歳 10月、週刊科学誌『Nature』に「東洋の星座」を発表。ロンドン訪問中の土宜法龍【どぎほうりゅう】と会い親交を結ぶ。
1900年(明治33) 33歳 10月15日、神戸に上陸、弟・常楠【つねぐす】に迎えられ和歌山市に帰る。
1901年(明治34)34歳 10月、紀伊勝浦入り、那智【なち】山周辺の隠花植物を調査。1904年(明治37)9月、那智での研究生活を打ち切り、10月に田辺へ。
1909年(明治42) 42歳 9月、神社の合祀と森林伐採に反対する意見を『牟婁新報』【むろしんぽう】に発表。
1911年(明治44) 44歳 9月、松村任三【まつむらじんぞう】宛書簡二通が柳田國男により『南方二書』【みなかたにしょ】として刊行される。
1921年(大正10) 54歳 1月、熊楠が先年(1917年8月)、自宅の柿の木より発見した変形菌を新属新種ミナカテルラ・ロンギフィラと命名したとの知らせをG・リスターより受ける。
1929年(昭和4) 62歳 6月、南紀行幸の昭和天皇に進講し、変形菌標本110点を進献。
1941年(昭和16)74歳 12月29日永眠。
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申込書

オープニング・トーク『クマグスの内的宇宙』
10月6日 (土)17:00-18:00

熊楠は生涯を通じて、自らの精神世界や身体、家族や地域社会の身近な生活にも目を向けて精緻な観察を続けた。これまで伝説の陰に隠れていた等身大の新たな熊楠像とともに、「クマグスの森」展(2007年10月6日ー2008年2月3日)の全貌をお話し頂く。
参加費■1500円(要予約、ワタリウム美術館会員、シリーズ講演会「熊楠の森を知る」Part2に御参加の方は御招待
講師:松居竜五(龍谷大学国際文化学部准教授)
1964年生まれ。東京大学大学院比較文学専攻課程修士修了。ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、現職。著書に『南方熊楠、一切智の夢』、『南方熊楠の森』(共著)、『南方熊楠英文論考』(共訳)など。

関連企画申込方法
○御参加を希望される方は、お早めに御予約下さい。各催しは、定員になり次第〆切らせて頂きます。
○お申込・お問合先、ワタリウム美術館
TEL:03-3402-3001 FAX:03-3405-7714 Email:official@watarium.co.jp
振込先 三井住友銀行 青山支店 (普)1033281 (名)ワタリウム美術館

シリーズ講演会 『熊楠の森を知る』Part2
全7回 各19:00-21:00

第1回
10月13日 (土)『熊楠が歩いた熊野』九鬼家隆(熊野本宮大社宮司)
遠い神代の昔から続く「熊野信仰」。その歴史には、神と自然と人はその祖先を同じとするという日本人の心が流れている。熊野本宮大社宮司の九鬼家隆氏をお迎えし「熊野」と熊楠についてお話し頂きます。
(今井紀彰氏が撮影した「熊野」のスライドも上映します。)
九鬼家隆(熊野本宮大社宮司)
熊野本宮大社は、熊野速玉大社・熊野那智大社からなる熊野三山のひとつ。明治の大洪水で旧地である大斎原から流され、現在の地に移された。戦前までは熊野坐(くまのにます)神社と呼ばれ、上皇から庶民まで幅広い人々に信仰され、全国に3000社以上の分社をもつ。


第2回
10月28日(日)『熊楠の頭の中』茂木健一郎(脳科学者)X 池上高志(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
「歩く百科事典(エンサイクロペディア)」「日本人の可能性の極限」と讃えられた超人・熊楠。脳科学の視点からみる南方熊楠という人物、「複雑系」モデルにつながる南方マンダラの世界認識についてお話しを頂く。
茂木健一郎(脳科学者)
1962 年、東京生まれ。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。現在、ソニーコンピューターサイエンス研究所シニアリサーチャー。専門は脳科学、認知科学。「クオリア(感覚の持つ質感)」をキーワードとして脳と心の関係を研究。
池上高志(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
1961年生まれ。1989年東京大学大学院理学系研究科物理学修了。専門は複雑系の科学。おもにコンピューターを用いた構成的な理解を目指す研究を行う。対象は広く、化学反応と自己複製、生態系の進化、ゲーム力学、認知相互作用などを扱っている。

第3回
11月3日 (土)『もうひとつの熊野・熊楠と木の記憶』中上 紀(作家)
南方熊楠によって伐採から救われた阿田和の大楠を軸に聖地熊野の記憶など、現在思うところを語りたいと思う。
中上 紀(作家)
1971年東京生まれ。父は作家の故・中上健次、母は紀和鏡。ハワイ大学に芸術学部で東洋美術を学ぶ。ミャンマーが舞台の紀行文『イラワジの赤い花』を執筆後、1999年に初小説『彼女のブレンカ』で第23回すばる文学賞受賞。著書に『夢の船旅:父中上健次と熊野』『月花の旅人』など。

『熊野で感じたことを音にする』雲 龍(笛奏者)
2004年、紀伊山地の世界遺産登録記念式典にて細野晴臣with 大平洋モンゴロイドユニットとして出演し、熊野本宮大社旧社地(大斎原)石祠の前にて献笛した。「場」と共鳴し笛を吹く雲龍氏に、熊野で感じた音についてお話し頂く。
雲 龍(笛奏者)
1962年、大阪府生まれ。長野在住。幼い頃より笛に親しみ、鞍馬山、出雲、吉野、富士山、高千穂ほか、さまざま「場」で笛を吹く。横笛をはじめ土笛、木の実の笛、コアガラスの笛、ネイティブアメリカンフルートなど数多くの笛を演奏する。
(協賛:三重県)

第4回
11月17日 (土)『粘菌と熊楠』 萩原博光(国立科学博物館植物研究部研究主幹)
1900年、熊楠は33才の時に帰国して隠花植物調査を開始した。熊楠が研究対象にした隠花植物とはどのような生き物かを、特に淡水藻、キノコ、粘菌にしぼり紹介します。
萩原博光(国立科学博物館植物研究部研究主幹)
1945年、群馬県生まれ。北海道大学農学部卒業、農学博士。著書に『森の魔術師たち−変形菌の華麗な世界』(共著)、『南方熊楠の図譜』(共著)、『日本変形菌類図鑑』(共著)など。

第5回
11月24日 (土)『キノコ図譜を読む』   岩崎 仁(京都工芸繊維大学環境科学センター)+
        『キノコ切手に魅せられて』飯沢耕太郎(写真評論家)   
『キノコ図譜を読む』
熊楠がキノコを研究していたことはよく知られているが、その内容についてはあまり知られていない。生前発表されることがなかったキノコの図譜が約3500点遺されている。この彩色画を含む図譜をデジタルデータを使用して公開し、解説をいただきます。
岩崎 仁(京都工芸繊維大学環境科学センター)
1954年、愛知県生まれ。(社)日本写真学会理事。南方熊楠顕彰会理事。画像資料調査およびデジタルデータ化を担当して南方熊楠邸資料調査に参加。著書に『南方熊楠の森』(共著)など。

『キノコ切手に魅せられて』
キノコ切手に取り憑かれてしまってからの至福の日々。その魅力とコレクションの愉しみについて、実例をあげながら語り尽くす。
飯沢耕太郎(写真評論家)
1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部卒業。日本を代表する写真評論家。 1990-94 年、写真誌『デジャ =ヴュ』編集長を務めた。3000枚以上のコレクションを持つ有数のキノコ切手コレクターでもある。

第6回
11月30日 (金)『熊楠と粘菌の宇宙論』池澤夏樹(作家)
南方熊楠の粘菌研究は広く知られている。どこからこの関心が湧いたのか、生命とは何かを考える上で最も興味深い 境界領域にいるこの生物になぜ熊楠は注目したのか?理系と文系の一 線をやすやすと越えるだけでなく、すべての界面を越境する熊楠の生成 的な思考を、植物と動物の境界線を行き来するこの生物と重ねて考える。
池澤夏樹(作家)
1945年、北海道生まれ。1988年、『スティル・ライフ』で第98回芥川賞を受賞。1994年、沖縄に移住。 2003年、『イラクの小さな橋を渡って』『憲法なんて知らないよ』『静かな大地』などの著作活動全般について、司馬遼太郎賞受賞。 2004年、フランスに移住。

第7回
12月7日 (金)『森の奥なる柔らかきもの』松岡正剛(編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長)
熊楠の思索と研究を「森」とみなし、その森の一隅から発するミナカターマンダラの条光に、今日の我々が見失った「方法の夢」を見いだしたい。また、柳田・折口との相違に目を向けたい。
松岡正剛(編集工学研究所所長、ISIS編集学校校長)
1944年、京都生まれ。早稲田大学出身。東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授をへて、現職。情報文化と情報技術をつなぐ研究開発に多数携わる。日本文化研究の第一人者でもある。おもな著書に『日本流』『知の編集工学』『遊学』『17才のための世界と日本の見方』ほか多数。「松岡正剛の千夜千冊」も更新中(http://isis.ne.jp/isis/)。


「熊楠の森を知る」会員参加費と特典:
入会金 3000円(「熊楠の森を知る」2006会員の方、ワタリウム美術館サポート会員は不要一般会員の方は半額)
参加費 9000円(シリーズ講演会7回+招待回1回) 
○10月6日(土)オープニング・トークにご参加頂けます。
○「クマグスの森」展期間中は、展覧会に無料で入館できます。
□単回参加費:各2800円(ワタリウム美術館サポート会員1400円、一般会員の方は2240円)

関連企画3  ライブ:森羅万象〜祈り
11月2日 (金)19:00-21:00 受付終了
出演:細野晴臣(ミュージシャン)
   雲龍(笛奏者)
「クマグスの森」展開催を記念し、細野晴臣氏と雲龍氏によるライブを開催します。「実際、不思議なことだが紀伊の山々で祈ることは実現するのだ。熊野に行き、苔を壊さぬよう歩き続け、慎重に自然を崇拝すればそれで良い。ここでの祈りは世界に通じていく。」(細野晴臣、DVD「熊野大権現」2005年、評言社 推薦の言葉より)

参加費
■ 2500円(ワタリウム美術館サポート会員1250円、一般会員の方は2000円)


関連企画4  ツアー:熊楠の旅

12月1日(土)・2日(日)
講師:松居竜五(龍谷大学国際文化学部准教授)
那智勝浦/陰陽の滝/熊野古道/那智一の滝/熊野本宮大社/南方熊楠顕彰館/南方熊楠記念館などを訪ねる予定です。

■詳細はワタリウム美術館までお問合せ下さい。

クマグスの森展  関連企画申込方法
ご参加希望の方は、お早めに御予約下さい。各催物は、定員になり次第、〆切らせて頂きます。
お問合せ・お申込先
ワタリウム美術館
Tel:03-3402-3001 Fax:03-3405-7714 Email:official@watarium.co.jp
振込先:三井住友銀行 青山支店 (普)1033281 (名)ワタリウム美術館
日時、内容など、講師の都合により、変更になる場合もございますことをご了承下さい。
 

追加開催 Workshop & Lecture
11月10日(土)2007年
第一部 17:00-19:00 ワークショップ
クマグスになろう
講師:土永浩史(和歌山県立田辺高等学校教諭) 
土永知子(和歌山県立日高高等学校教諭)
無尽無究の大宇宙の大宇宙のまだ大宇宙を包蔵する大宇宙を,
たとえば顕微鏡の一台買うてだに一生見て楽しむところ尽きず −南方熊楠
「くさびら(キノコ)」を解剖して顕微鏡でのぞいたら,
今まで見たことのない世界が見えるでしょう。
また熊野の森の葉で,簡単な植物標本を作ってみましょう。
* 限定20人
○ 参加費: 2,000円
* ワタリウム美術館サポート会員1000円、一般会員1600円
第二部: 19:00-20:00レクチャー
クマグスの家族
講師:吉川寿洋(国立和歌山工業高等専門学校名誉教授)
熊楠研究の第一線でご活躍の吉川寿洋氏を迎え、
熊楠の家族について、お話頂きます。
○参加費: 1,000円
*ワタリウム美術館会員、シリーズ講演会「熊楠の森を知る」Part2に御参加の方は御招待。事前に、御予約下さい。
○ 通し参加費:2,500円(第一部+第二部の両方に御参加頂けます)


クマグスの森展 記念出版
『南方熊楠 菌類図譜』
解説:萩原博光  編集:ワタリウム美術館
A4判 136ページ(128ページカラー図版)
彩色菌類図譜120点 解説付き
3800円(本体価格)
2007年9月30日発行 新潮社刊

『クマグスの森』
A5判 128ページ(全ページカラー)
解説:松居竜五  編集:ワタリウム美術館
図版掲載200点以上。『クマグスの森』展のための書き下ろしテキストの他、中瀬喜陽、中上 紀、飯沢耕太郎、町田康らのコラムも掲載。
予価1500円(本体価格)
2007年11 月25日発行 新潮社刊新潮社 とんぼの本 

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