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Empty Garden 2
会期 2004年4月23日(fri)−2004年9月26(sun)
開館時間11:00〜19:00 *毎週水曜日は21:00まで延長
休館日:月曜日 *5月3日(祝)、7月19日(祝)、9月20日(祝)は開館
入館料 入場料:大人1,000円 学生800円(25歳以下)
(期間中、何度も使えるパスポート制チケット)
助成 Pro Helvetia、国際交流基金
後援 スイス大使館、フランス大使館、ブリティッシュ・カウンシル
協賛 株式会社資生堂 
協力 星宮神社、秋葉社、美並地域教育事務所、AIT
展示協力 東リ株式会社
展示内容
展示内容 exhibition▲PAGE TOP
シュタイナー&レンツリンガー Gerda Steiner & Jorg Lenzlinger (スイス) >>
ゲルダ・シュタイナー(1967年スイス、ルツェルン生まれ)と
ヨルク・レンツリンガー(1964年、チューリッヒ生まれ)は、1997年以来、二人で共同制作を行っている。
2003年、第50回ベネチア・ビアンナーレでは、スイス代表として、バロック教会の空間の中に、『FallingGarden(落下する庭)』というタイトルの大掛かりで不思議なインスタレーションを制作した。人工的なものなどの数百に及ぶ小さなオブジェ、自然の植物、そして装置や有機体が用いられ、高い天井から吊るされた。生命力に満ちた雨が上から降り注ぐ中、観客は内部に中央に設置されたベッドに横になり、息をのみ、そこで奇跡の瞬間を体験する。

今回、東京では、『Whale Balance(くじらのバランス)』と題した、いわば上記『落下する庭』の発展バージョンといえる作品が発表される。壊れやすい構造体が、天井の一点で固定され、空中でバランスを保つ。壁面には壁画が描かれ、さらに、高い天井から垂直に張られたロープに尿素がたらされ、強烈なピンク色の結晶が生まれます。美しく、同時に不気味にもみえる、クリスタルの柱は、有機体のように、時と場所を記憶し、成長をつづけます。
クー・ジュンガ Koo Jeong-a (フランス) >>
すでに10年以上、パリを中心にヨーロッパに住み活動しているクー・ジュンガ(1967年韓国、ソウル生まれ)は、今回の展覧会への参加について、以下のように語った。
「私の生まれた東洋の国で、<エンプティ・ガーデン>という空虚なタイトルの展覧会に参加することを興味深く思っている」もちろん、彼女は、西洋、東洋といった地理的な区別や、文化的な特殊性が、今や不可能であることは十分承知している。

今回の作品では、4階の展示室のほとんどが埋め尽くされてしまうような、大きな白い箱型のステージをつくり、その上に、いろいろオブジェがインスタレーションされる。床から170pの丘の上には、日常のさまざまな要素が確かに存在しているのだが、ほとんどの人は、その風景をみることができない。それは蜃気楼であり、夢の中の街である。彼女のぎこちない単純さと、どこか不足しているような空白感が、新鮮な錬金術を生み出しているように見える。
イアン・ケア Ian Kiaer(イギリス) >>
今回の作品、『エンドレス・ハウス・プロジェクト』はフレデリック・キースラーの提唱した〈エンドレス・ハウス〉の概念に起因し、いろいろな可能性を探る、進行中のプロジェクトです。

イアン・ケアは、現実から遥か遠く離れた未来の風景を作品に表現している。背景に飾られた絵は理想を示し、貧弱な小道具はその理想の儚さと、理想を目指す野心が長くは続かないことを暗示している。

たとえば1999年の作品『ブルーゲル・プロジェクト』では、ひっくり返しに置かれた台所用のゴミ箱と、小さなピンクの水彩画、そしてピンクの発砲スチロールの切れ端が床に並べていた。これらのいくつかの色彩はそれぞれが関係を持ち、一つの風景となる。観客はその風景に引き込まれていくが、空想の世界に長くは浸ることは許されていない。彼の作品は、空想と現実の間で不安定にバランスをとりながら存在し、むしろ不均衡を凝縮してみせているのである。

トーマス・フレヒトナー Thomas Flechtner (スイス) >>
トーマス・フレヒトナー(1961年スイス、ヴィンタートゥール生まれ)は、2000年 『Frozen』『Walks』、2003年『さくら』などの写真作品を発表している。

今回「エンプティ・ガーデン2」展で発表するのは、『スパイス・ガーデン』と題された85枚の写真です。2002年夏、モンスーン期、南インドのケララ地方で撮影され、被写体は、グローブ、ナツメグ、胡椒など多種にわたる香料のジャングルである。地元の人達はここを"神の国"と呼ぶ。フレヒトナーは、「私にとって、そこは小さな楽園のようなもので、文明化されたジャングルといった感じが、とても気に入りました。緑色が雨の中で白にかわり、次の瞬間、影によって黒に変化していく。そしてそのすべての色が緑の中に存在している(雪の中のように)。写真がそうした事を捕らえて、表現出来ることが好きなのです。」と語る。

さらに、このシリーズは、バーゼルの病院の入院病棟の一部屋一部屋に、50×30cmのプリントの形で飾られている。
フェデリコ・エレーロ Federico Herrero (コスタリカ) >>
最後にこのエンプティ・ガーデン2展のアンカー役として参加したフェデリコ・エレーロは南米、コスタリカ出身の26歳。AITのレジデンスプログラムによって今年1月末より3ヶ月間、日本に滞在していた。

今回、フェデリコは『架空の広告』と題したシリーズ絵画を制作、展示場所は屋外となった。彼は、美術館の周辺、神宮前の宅地が広がるエリアの小さな路地を散策した。

もはやこのあたりでは少なくなった空き地を見つけたり、不思議な空き家や珍しい木を見てまわった。美術館を飛び出し、路地を通る人々や住人たちに目撃されることになたこれらの作品は、これまでと違ったアートの新しい役割を担うだろうととフェデリコは話す。たとえば、空き地に置かれたサイン(作品)は、この空間の持ついくつもの可能性や近未来における多様な用途を想像させる。さらには、それらをみるさまざまな人々を、互いに密接に結び付け、その空間はさらに活性化されていくこともできる。

フェデリコは画家として視覚的な意味を追求するだけでなく、社会学的、地誌学的な文脈で「フレームの限界」に興味を抱き、さまざまなプロジェクトに挑戦する新しいタイプの作家である。
円空 Enku (日本) >>
円空(えんくう)はいわゆる〈空仏(えんくうぶつ)〉と呼ばれる、おびただしい独特の彫り跡をみせる木彫を32年間にわたって彫り続け、64歳で入定したと伝えられているが、出生や経歴については分からない部分も多い。しかし、ともあれ円空が活躍したのは江戸時代初期のことなのである。

海外の現代美術を集めて実施する今回の「エンプティ・ガーデン2展」において円空の作品の果たす役割は大きく、370年という時間の隔たりや仏教、キリスト教といった宗教の違いをも超えてしまう。ここで持ち込みたかったのは、円空の作品が形づくっている自由の「祈り」である。伝統や社会制度に縛らることなく、作品の制作とともにますます自由になっていった円空の伸びやかで大胆な作風が、それを見るものに祈りの大切さを今一度呼び起こさせてくれるのである。
2004年、揺れ動く世界でその小さな木彫りの仏たちがエンプティ・ガーデンでたたずんでいる。

作品協力:星宮神社、秋葉社、美並地域教育事務所
 
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