ヘンリー・ダーガー展
レクチャー・シリーズ

連続4回 19:00〜21:00



2003年
1月11日(土)
野田正彰

(のだ まさあき)
評論家、京都女子大学教授(精神病理学)。 著書に『させられる教育』『戦争と罪責』『喪の途上にて』『国家に病む人々』など多数。

 


 
ヘンリー・ダーガーの心の中−
精神病理学の視点から

子供の自閉化、家庭内暴力、接触障害、いじめ、凶悪犯罪。青年層の対人関係の変容。中高年の抑うつ、自殺。高齢者の抑うつなどの現代人の精神的葛藤について、あるいは、阪神大震災の災害救援や北朝鮮問題、様々な事件を通して人々のこころや社会意識について、精神病理学の視点から、鋭い分析を行ってこられた野田正彰先生をお迎えし、ヘンリー・ダーガーの心の中を探ります



2月8日(土)
椹木野衣

(さわらぎ のい)
1962年生まれ。同志社大学文学部卒業。 1991年より美術評論活動。著作に『シミュレーショニズム―ハウス・ミュージックと盗用芸術』『資本主義の滝壷』『日本・現代・美術』『22世紀芸術家探訪』『岡崎京子論―平坦な戦場でぼくらが生き延びること』など多数。

 

孤独の創造−
ヘンリー・ダーガーと老人たち

新しさが求められるアートの世界では、過度に「若さ」が優遇されるきらいがある。しかし、もしも作家がひとつの想念に取り付かれ、寝食も忘れてそのヴィジョンの実現に取り組んだとしたら、どうだろうか。彼は発表や評価の機会を忘れ、いつしか老いていく。彼の生み出すものは、美術館や美術市場といった現在のアートのルールには収まり切らないものとなっていく。なにか得体のしれないもの、むしろ、そこにこそアートの可能性が眠っているとはいえないか。ダーガーへと至る、20世紀の知られざる創造の系譜を紹介する。



2月15日(土)
四方田犬彦

(よもた いぬひこ)
1953年生まれ。東京大学で宗教学を、大学院で比較文学を学ぶ。映画、文学、漫画など幅広い批評活動を
行う。現在、明治学院大学教授。著書に『月島物語』、『電影風雲』、『日本映画史100年』など多数。

ヘンリー・ダーガーを索めて

「私の人生には、ほとんど出来事と呼べるものがなかった」と、ヘンリー・ダーガーは5084頁に及ぶ自叙伝を書き出している。シカゴの郊外にある彼の墓には、「子供たちを守り続けた芸術家」という銘が刻まれている。思うにこの偉大なる夢想家は、現実においてこそ孤独であったかもしれないが、ひとたび秘密めいた少女たちの宇宙の住人となったとき、無限の至福のうちに生きる力を授けられたのだ。ダーガーはフーリエの中断されたユートピアの後継者であり、複製技術時代の先駆者である。しかし彼はそれ以上に、子供たちのためのラブレーなのである。



2月22日(土)
斎藤環

(さいとう たまき)
1961年生まれ。筑波大学医学専門郡卒業。医学博士。精神科医。思春期・青年期の精神病理、病跡が専門。著書に、『登校拒否のすべて』『社会的ひきこもり―終わらない思春期』『戦闘美少女の精神分析』『文脈病―ラカン/ベイトソン/マトゥラーナ』など多数。

ヘンリー・ダーガーの
ファリック・ガールズ

ヘンリー・ダーガー。この偉大なるひきこもりのアウトサイダーは、まさに世界の外側に立ちながら、自らの手になる「非現実の王国」を、いかなる現実よりも大切に育もうとした。彼の世界を破滅から救うヴィヴィアン・ガールズは、巨大な龍を従えて戦闘におもむく可憐な美少女たちである。ペニスを持った美少女=ファリック・ガールズを生み出したダーガーの創造性は、果たして何に由来したか。その世界観は、いまや戦闘美少女が跋扈するわが国のサブカルチャーと、いかなる通底回路を持つか、最新の研究成果をふまえて分析する。



お問合せ・お申込方法
● ご参加を希望される方は、お早めに、御予約下さい。
各催しは定員になり次第〆切らせて頂きます。
● 参加費  各2,500円 、 全4回通し6,000円 
● 振込先  三井住友銀行 青山支店 [普]1033281 [名]ワタリウム美術館
● 会場/申込 ワタリウム美術館
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6
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